女だからと押し付けられることには「なめんなよ!」 枝元なほみがキッチンから見た社会問題とは 料理研究家、枝元なほみ。捨てられる食べ物がある一方で、今日の食事に困る人がいる。「夜のパン屋さん」は、そんなねじれを解消する取り組みだ。売れ残ったパンを集め、ビッグイシューの販売員が販売する。この「夜パン」の発起人が、枝元だ。台所から見えてきたのは、フードロスや農業、貧困などの社会問題。女性に押し付けられる理不尽さをかわしながら、未来をつくりだす。 現代の肖像 11/13
泉房穂・明石市長が語った「お地蔵さんになりたい」の真意 街づくりの原点に障害ある弟の存在 兵庫県明石市長、泉房穂。「こどもを核としたまちづくり」を掲げ、明石市の市長として指揮を執り、市民から支持されてきた。やさしい街づくりを志した原点には、障害のある弟の存在がある。弟に冷たい明石をいつか変えてやると心に決めた。だが、10月12日、市議への暴言の責任を取り、政治家を引退すると表明。任期の来春まで、明石市長として責務を果たす。 現代の肖像 10/28
ガレッジセール・川田広樹 沖縄の「復帰っ子」として沖縄戦体験者の声を未来に伝える ガレッジセール、川田広樹。1972年、沖縄が本土へ復帰した。この年に生まれた子どもは「復帰っ子」と呼ばれ、沖縄を担う存在として期待される。復帰っ子でもある川田広樹は、復帰50年のこの年、沖縄戦の体験者の声を聞き、伝えなくてはならないと、初めて使命感が生まれた。忙しい合間を縫って、沖縄のおじい、おばあの元へ通い、その声を聞き記録する。今、何が川田を突き動かすのか。 現代の肖像 10/16
川口穣 安全に暮らせるための防災情報を0.01秒でも早く届ける ゲヒルン代表取締役・石森大貴 ゲヒルン代表取締役、石森大貴。「特務機関NERV」の名で、アプリやツイッターを通して防災気象情報を配信する。その早さは国内最速レベルだ。石森大貴が個人で始めた取り組みは、「公式」からのお墨付きも得て、いまやアプリのダウンロード数は307万回。あの日、大切な人に「逃げて」の声が届かなかった。だから0.01秒でも早く、わかりやすく情報を伝えることにこだわる。 現代の肖像 9/23
居場所がなく街を漂流する少女の声を聞き続ける NPO法人「BONDプロジェクト」代表・ルポライター・橘ジュン NPO法人「BONDプロジェクト」代表・ルポライター、橘ジュン。家に居場所がなく、街をさまよう少女たちがいる。彼女らはひと晩を過ごすために、危険を知りながらも男性に会いに行く。橘ジュンはそんな少女たちの声を受け止めてきた。相談は月に3千件以上。必要であれば保護し、行政支援へつなげる。夜の街に自ら赴き、少女たちに会いに行く。直接会って聞いた声を、世間へ伝えていく。 現代の肖像 9/17
人を病の苦しみから救うための新薬を モデルナ・ジャパン代表取締役社長・鈴木蘭美 モデルナ・ジャパン代表取締役社長、鈴木蘭美。新型コロナウイルスがまん延し、米モデルナはmRNAワクチンであっという間に世界に存在感を知らしめた。モデルナの日本法人が昨年設立され、鈴木蘭美が「モデルナ・ジャパン」の初代社長に就任、コロナの封じ込めに奔走する。もう一つ、鈴木の大きな夢は人類のがんの完治。長くイギリスで研究もしてきた。病の苦しみから人類を解放したいと願う。 現代の肖像 9/9
中村千晶 もらってきたたくさんの愛を胸に、自分に正直にありのまま生きる タレント・ryuchell タレント・比嘉企画代表取締役、ryuchell。7年前、金髪にメイクをほどこし、ハイテンションなキャラクターでテレビに登場したryuchellは、世間をあっと驚かせた。今では、ryuchellの言葉にも注目が集まるようになった。ダイバーシティー、子育て、沖縄についてと話題は幅広い。ryuchellはいつも自分に正直に生きようとしている。その生き方は、きっと私たちの価値観をも変えていく。 現代の肖像 9/7
自らの苦しい経験もさらけ出し、子どもの勉強と心を支える存在に 教育YouTuber・葉一 教育YouTuber、葉一。葉一の作る授業動画「とある男が授業をしてみた」は、ホワイトボードを使って説明するシンプルなもの。登録者数は179万人、動画は無料で公開される。誰も取り残される子を作りたくないという思いで作る。根底には、生きる意味を見いだせなかった自分がいる。それを子どもたちが救ってくれた。今度は、自分が子どもを救いたい。 現代の肖像 8/27
自分の意志に従って生きるための教育を目指す 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長・ZホールディングスZアカデミア学長・伊藤羊一 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長・Zホールディングス Zアカデミア学長、伊藤羊一。昨年、武蔵野大学にアントレプレナーシップ学部が創設された。この立ち上げをリードしたのが、学部長でもある伊藤羊一だ。Zアカデミアの学長でもあり、事業家としても注目される伊藤は自信にあふれているように見えるが、人生のどん底を経験している。こんな自分でも変わることができた。この日本で、あなたも生き抜いてほしい。そんな心からの叫びを、学生たちに伝えたい。 現代の肖像 8/22
千葉望 職人として経営者として伝統を受け継ぐ 染司よしおか六代目、染織家・吉岡更紗 染司よしおか六代目で染織家の吉岡更紗。糸や布を天然染料で染める「染司よしおか」は、200年前に京都で創業した。更紗はその六代目となる。父の幸雄は染織史研究家・編集者として高く評価されていた。その父が2019年に急死。家業を懸命に守ってきた。父にはなかった職人としての腕を武器に、京都に根差し、伝統を守り、新しい道を開いていこうとしている。 現代の肖像 8/7
できることを見極めて勝ちを取りにいく サッカー男子日本代表監督・森保一 サッカー男子日本代表監督、森保一。取材を申し込んだのは2020年、東京五輪に合わせた掲載の予定だった。未曽有のパンデミックが世界を覆い、サッカー界も困難な状況に置かれた。それでも結果は求められる。かつて無名だった選手は、どのようにしてワールドカップ(W杯)出場を決めた代表監督になったのか。「ドーハの悲劇」と同じ地で今年11月、W杯が開幕する。 現代の肖像 7/15
若い世代の政治参加をもっと当たり前に 「NO YOUTH NO JAPAN」代表・能條桃子 「NO YOUTH NO JAPAN」代表、能條桃子。21歳の時、留学先のデンマークで若い世代を含む「みんな」が選挙を一大イベントとして楽しむ熱気に触れた。この熱気を日本の若い世代にも伝えたいと、活動をスタート。「わかりやすくポップに」をコンセプトにインスタで発信。今では、8万人強に響くメディアへと成長したが、まだまだ道半ば。誰もが生きやすい社会を目指し、笑顔で前へ進む。 現代の肖像 7/3
吉井妙子 「これからの時代の資産は、お金ではなく“繋がり資産”」 社会活動家・石山アンジュ 社会活動家・石山アンジュ。人は血がつながっていなくても家族になれるか。そんな試みのもと、約60人が「新しい家族」として東京・渋谷に住んでいる。石山アンジュは、この共同コミュニティー「Cift」の立ち上げ人の一人。これからの時代は、人とのつながりが資産になるという。奪わない、独り占めしない。自分の余白を差し出し、それをシェアし合って人がつながることができたら、世界だって平和になる。 現代の肖像 7/3
レジリエンスの高い社会を目指して発信し続ける 評論家・チキラボ代表・荻上チキ 評論家・チキラボ代表、荻上チキ。ラジオ「Session」では、精度の高いニュースが放送される。それはパーソナリティーの荻上チキの力量によるところも大きい。パーソナリティーだけでなく、評論家として、アクティビストとして、荻上はいじめ問題をはじめ、様々な社会問題の解決の道を探る。自身も理不尽ないじめを受けた。人が不遇な状況に陥ったとき速やかに回復できる社会を作ろうと、本気で取り組んでいる。 現代の肖像 6/18
いじめで不登校 私が中卒から政治家になった理由 東京都議会議員・弁護士、五十嵐衣里 東京都議会議員・弁護士、五十嵐衣里。中学時代にいじめにあった。当時のことはあまり記憶にないと言う。学校に行けなくなり、アルバイト生活を始める。バイト先を理不尽な理由でクビになり、労基署に相談するとバイト代が出た。これをきっかけに法律に目覚め弁護士に。もっと問題解決ができると思い、昨年、東京都議会議員になった。都議と弁護士の二足のわらじで、目の前の課題に取り組む。 現代の肖像 6/10
中村千晶 料理は“楽しく適当に!”母に背中押され、魚料理を強みに 料理家・栗原友 料理家、栗原友。料理は「思いっきり適当につくってください」と、栗原友は勧める。もっと楽しく、自由に。それは、自身の生き方でもある。母は栗原はるみで、料理家として恵まれたスタートを切った。けれども魚がさばけず、鮮魚店で修業し、強みに変えた。がんをきっかけに髪をピンクに染めた。自分の好きなように生きていきたい。人生はレシピ通りにはいかないから、おもしろい。 現代の肖像 6/5
科学と社会をつないでいく 科学コミュニケーター・本田隆行 科学コミュニケーター、本田隆行。天文学者になりたい。その夢を追いかけて惑星科学を学び、大学院生のときは、はやぶさのプロジェクトにも参加した。だが、研究者の道は断念。代わりに覚悟を決めて飛び込んだのが、サイエンスコミュニケーションの世界だった。使命は、科学と社会をつなぐこと。日本中の「わからない」に耳を傾け、科学的に考えるためのヒントを届ける。 現代の肖像 5/28
場所もジャンルも垣根を分けないことが自分流 ピアニスト・音楽家、角野隼斗 ピアニスト・音楽家、角野隼斗。昨年10月のショパンコンクールでセミファイナルに進出、世界にピアニストとして角野隼斗の存在が周知された。クラシックだけではない。YouTubeでは「かてぃん」の名前で、さまざまなジャンルの音楽を配信し、登録者数は98万人を超える。一つのことだけではおさまりきらない好奇心と、それを最高のレベルにまで持っていく探究心。新しい音楽の世界の幕が上がる。 現代の肖像 5/23