「病院長会議」でコロナから命を救う 中東遠総合医療センター院長・宮地正彦<現代の肖像> 静岡県は地域一帯の病院と連携し、新型コロナウイルスによる死亡者数を相当に抑えている。その肝が「病院長会議」だ。圏域ごとに医療体制が異なる静岡県の病院をまとめるのは容易ではない。中東遠総合医療センター院長・宮地正彦は車を飛ばし、各院長に話をつけた。今また第4波が押し寄せ、緊張が高まっている。「スピードが勝負」と、患者の命を最優先に、行動し対応にあたる。 医療新型コロナウイルス現代の肖像 4/23
人は依存しながら生きているもの、“ただ居ること”の価値に気づいて 臨床心理士・東畑開人<現代の肖像> 自分の居場所を見つけるのは容易いことではない。努力だけではかなわないことも多々ある。東畑開人もまた、そうだった。大学院修了後、沖縄の精神科デイケアで働くが、思い描く臨床心理士の仕事ではない。ただ、その場所に「居る」ことが仕事だった。そんな日々に迷い、倦み、4年半後にやめた。やめてから、ただ「居る」ことがどれだけ心のケアになっているか、気づいた。 現代の肖像 3/29
中村千晶 ホラー漫画家・伊藤潤二は「怖がり」/心霊写真やテレビの心霊番組が苦手な理由は? <現代の肖像> ホラー漫画家、伊藤潤二。『富江』『うずまき』などの代表作を持ち、2019年にはアイズナー賞を受賞。世界中に伊藤潤二のホラー漫画ファンがいる。ゾクゾクする感覚がおもしろくて、ホラー漫画にハマった。ホラー漫画以外は描こうと思ったこともない。じわじわと、まるで肌にまで侵食していくような恐ろしさ。一筆一筆、ときに一コマ9時間かけて恐怖を描く。 現代の肖像 3/17
千葉望 「放射能が降っています。静かな夜です。」 詩人・和合亮一が「詩の礫」でつぶやき続けた福島への思い<現代の肖像> 詩人、和合亮一。東日本大震災発生の翌日、福島第一原発が爆発した。和合亮一がずっと住み続けていた福島が、放射能にさらされた。地震発生から間もなく、和合はツイッターで詩を呟きはじめた。それは怒りでもあり、故郷への思いでもあり、生きる術でもあった。和合の詩は、演劇になり、歌になり、今でも多くの人の心に届く。詩人としても、新しい境地を迎えようとしている。 現代の肖像 3/11
吉井妙子 「八咫烏シリーズ」が累計155万部 ベストセラー作家・阿部智里が語る「登場人物の脳内会議」<現代の肖像> 作家、阿部智里。2012年、『烏に単は似合わない』で、阿部智里は松本清張賞を受賞した。史上最年少の20歳での快挙だった。「八咫烏シリーズ」は累積155万部のベストセラー。阿部の描く世界は、和風ファンタジーとしてファンに支持される。子どものころから、想像力豊かだった。今でも、その空想は健在。登場人物と脳内会議をしながら、作品を描き出す。 現代の肖像 3/9
原点は化粧品の実演販売 令和に誕生した爆笑王・落語家、桂宮治<現代の肖像> 落語家、桂宮治。今年2月、落語界に新たな真打が誕生した。29年ぶり、5人抜きの抜擢昇進した桂宮治だ。本来であれば、華々しく披露興行も行われるが、コロナで客席は半数に抑えられた。それでも切符を求めて長蛇の列ができた。爆笑をさらう宮治の落語は、人生の辛苦を少し忘れさせてくれる。泣き虫で繊細な宮治だからこそ、多くのファンが集まる。 現代の肖像 2/27
「同調圧力」に異を唱える 作家・演出家、鴻上尚史の変わらない本質とは<現代の肖像> 作家・演出家、鴻上尚史。政府が最初に文化・スポーツイベントの主催者に自粛要請をしてきた際、「休業補償とのセットを」と発信し、「特権階級か」と非難を浴びた。演劇が、あまりにも人々の生活から遠いことを思い知った。同時に、「世間」や「空気」による「同調圧力」にコロナ前から警鐘をならす。演劇人としての原点に、中学生時代に感じた理不尽がある。 現代の肖像 2/20
「8割おじさん」のはち切れそうなシャツから妻が感じたサイン 西浦博<現代の肖像> 新型コロナウイルスがどう広がるか、西浦博さんはデータ分析で闘ってきた。感染リスクを減らす対策は、経済に打撃を与える。専門家にしか言えないからと、「接触8割削減」を標榜する「8割おじさん」にもなり、42万人が死亡する被害想定も発表した。今は、徐々にデータも集まり、コロナの制御のめども立ってきた。第3波から命を守るために、エビデンスを積み上げる。 現代の肖像 9/23
大越裕 医療用ガウン10万着製造の舞台裏 合同会社ヴァレイCEO 谷英希<現代の肖像> コロナ禍で医療用ガウンが不足した。政府が製造を依頼したのが、谷英希さんが立ち上げたベンチャー企業・ヴァレイだった。ヴァレイは、契約している全国の縫製職人や縫製工場と連携し、あっという間に1日4千着を製造できる手はずを整えた。高い技術を持ちながら、報われない縫製職人がたくさんいる。「服作りに関わるすべての人を笑顔にする」ため、業界に新風を吹き込む。 現代の肖像 9/14
千葉望 一碗まわし飲みするお茶の文化、どう守る? 千宗屋<現代の肖像> 450年以上の歴史を持つ武者小路千家。祖は千利休である。伝統を受け継いできたこの茶家に、千宗屋さんは生まれた。小さなころから神社仏閣が大好きで、千さんが培ってきた豊富な知識は、今、美術界や出版界からもひっぱりだこに。だが、厳しい状況にもある。コロナ禍において、一碗で濃茶をまわし飲みするお茶の文化を、どう守っていくのか。 現代の肖像 9/13
【現代の肖像】順天堂大学名誉教授・樋野興夫「『がん哲学外来』で言葉を処方する」 「ほっとけ、気にするな」「人生いばらの道、されど宴会」など数々の「言葉の処方箋」を贈る(撮影/岸本絢) 現代の肖像 7/16
【現代の肖像】ザ・ニュースペーパー・芸人、福本ヒデ「やるなら役に立つ歯車になりたい」<AERA連載> 美術館もある上野公園は、好きな場所だ。うれしい時も人との関係に悩む時も、ここに来た(撮影/加藤夏子) 現代の肖像 7/2
【現代の肖像】小説家・朱野帰子「サラリーマンだからこそ見える社会を描く」<AERA連載> 「普通のサラリーマン」たちが抱える葛藤を真摯に汲み上げ、咀嚼(そしゃく)し、物語を紡いでいく(撮影/東川哲也) 現代の肖像 6/18
大越裕 【現代の肖像】哲学者・國分功一郎「社会が揺らぐと哲学が必要となる」<AERA連載> 学生にはいつも「哲学者は賢者ではない。知ることが好きな人間なんだ」と教えている(撮影/篠田英美) 現代の肖像 6/10
エンターテイナーkemio、生き方の核心にあるのは「シェアハピ」<現代の肖像> ポジティブもネガティブも全部ひっくるめて動画にしてさらけ出す。動画を観た後は、不思議と心が幸福感に満ちている。それはさながら10分間の魔法だ。常識や偏見から解き放たれた言葉の数々が、現実を歩く重みを少しだけ軽くしてくれる。天性のエンターテイナーkemioさんが生み出す動画は、世代や性別の分断線を越えて幅広い支持を集めている。 現代の肖像 6/5
吉井妙子 【現代の肖像】プロレスラー、オカダ・カズチカ「どこへ行ってもカネの雨を降らせる」<AERA連載> プロレス界に“金の雨を降らせた男”は大の釣り好き。船舶免許も取得し、時間が許す限り湖面に浮かぶ(撮影/加藤夏子) 現代の肖像 5/27
「教育界のならず者」が作るどんな子も学べる学校 宮澤保夫<現代の肖像> 不登校だったり、学習障害だったり、プロを目指すアスリートだったり、学びたいのに、事情があって学べない子どもがいる。どんな子も学べる学校を作るために、宮澤保夫さんは奔走してきた。法律を学び、担当者を説得し、厚い壁に風穴を開けた。その道のりは決して平たんでなく、時には大きな借金も抱えた。「教育界のならず者」とも呼ばれた宮澤は、引き際を見つつも、次の学校作りを考えている。 現代の肖像 5/25
小林麻美 突然の引退から四半世紀ぶりに登場した時代のミューズ<現代の肖像> パルコの広告では淫靡と退廃をふりまき、「雨音はショパンの調べ」で時代のミューズになりながら、ある日きっぱりと姿を消した。そして四半世紀。女性誌の表紙で穏やかな微笑みを湛えて復活すると、いま、長い子育ての時間にも枯れなかったファッションへの思いを携えて歩き始めている。AERA 2020年5月18日号に掲載された「現代の肖像」から一部紹介する。 現代の肖像 5/19