

植朗子
伝承文学研究者
プロフィール
伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。
植朗子の記事一覧



『鬼滅の刃』風柱・不死川実弥にまつわる「死」の物語――実弥がたった1度だけ「神」に祈ってでも助けたかった命とは
『鬼滅の刃』の中で、屈指の実力者である、風柱・不死川実弥。彼は、強靭な肉体、スピードあふれる剣技の才を持ち、多くの鬼を成敗し続けた。しかし、これほど傑出した才能がありながらも、彼はいくつもの特別な「死」に立ち会わねばならず、不死川兄弟のエピソードは常に悲しみに満ちている。心身ともにたくさんの傷を負いながら、それでも実弥は「死」と向き合い続けた。だが、たった1度だけ「死」を前にして実弥は神に祈る。神も仏もない厳しい人生で、彼は何を神に願ったのだろうか。【※ネタバレ注意】以下の内容には、クライマックスの場面に関連する、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。


『鬼滅の刃』で最もおしゃべりな男・我妻善逸のセリフに潜む知られざる「本心」――善逸が“信じようとした”もの
かつて、漫画『鬼滅の刃』が累計1億冊を突破したことを記念して、「新聞ジャック」と呼ばれるイベントが行われたことがあった。コミックス最終巻・23巻が2020年12月4日に発売されたのに合わせて、新聞全国紙5紙に、主要キャラクター15人のイラストとセリフが掲載されたのだ。鬼滅の名言はたくさんあるが、朝日新聞に掲載された我妻善逸の名セリフはファンから特に大きな反響を集めた。人気投票1位にも選ばれる善逸の魅力を、数々のセリフから考察した。【※ネタバレ注意※】以下の内容には、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

『呪術廻戦』のキーマン・乙骨憂太とは何者なのか――怨霊・里香との「恋模様」からみえる意外な冷徹さ
週刊少年ジャンプに連載中『呪術廻戦』の累計発行部数が2021年3月4日で3600万部を突破した。連載中のジャンプ本誌では、東京都渋谷区を中心に起きる「渋谷事変」のすさまじい被害が次第に明らかになり、主人公・虎杖悠仁らは強い悲しみと絶望に包まれる。そんな時、戦力を大きく削がれた「呪術高専」側に、到着を待たれていた人物・乙骨憂太が姿をあらわした。特級呪術師・乙骨の戦闘力は想像をしのぐものだったが、初登場の時と比べると、彼の描写には「大きな変化」が見られる。今後の展開のキーマン・乙骨憂太の謎めいた人物像を考察する。【※ネタバレ注意※】以下の内容には、放映中のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。



炎柱・煉獄杏寿郎が親から受け継いだ生き様――「ダメな父」と「聡明な母」だけでは割り切れない家族のカタチ
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、3月1日までに興行収入381億円を突破した。この映画では、炎柱・煉獄杏寿郎の「家族」にまつわるエピソードが紹介されている。杏寿郎の母は聡明で映画でも重要な役回りだった一方、元炎柱の父については酒浸りのダメ親のように描かれている。だが、物語を丹念に追うと、煉獄家のストーリーはそう単純ではない。ここでは、父・母との関係性が、煉獄杏寿郎の「生き方」にどのような影響を与えたのか改めて考える。【※ネタバレ注意※】 以下の内容には、映画の内容および既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
