映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』が見せた希望と絶望  “勝てない”政治家・小川淳也が語った本音と覚悟(後編) (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』が見せた希望と絶望  “勝てない”政治家・小川淳也が語った本音と覚悟(後編)

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和田静香dot.
「たまには正義が勝とうよ、と思うんです」と語る小川議員(撮影/写真部・掛祥葉子)
」

「たまには正義が勝とうよ、と思うんです」と語る小川議員(撮影/写真部・掛祥葉子) 」

「小川さんは普通だからこそ異質」と話す大島監督

「小川さんは普通だからこそ異質」と話す大島監督

 そこで改めて小川さんに、私たち有権者の在り方を尋ねた。今、有権者に政治を深く考える習慣はなく、政治と生活を切り離して見ていて、誰かと語るなんて恥ずかしいとされる。いざ選挙となれば一過性のブームに乗りやすく、驚くほど忘れっぽい。日本の有権者の多くはとても未熟だ。

「有権者を教育することを政治家は当然やっていませんし、学校も親も誰も日本ではやっていないですね。親は政治の話なんてしたら駄目、変な人に思われるよと言い、社会の暗黙の了解として政治を忌避してきました。結果として今の政界は相当に信用されず尊敬されず、なのに機能不全な政治が国民生活に多大なマイナスの影響を及ぼしています。だからこの状況を放置しているのは国民総体だという当事者意識に行きついてもらわないといけないのです。たとえば北欧では政治家は絶対に悪いことはしないと国民は言います。日本は逆ですよね。あいつらは絶対に悪いことをしている、と。では悪いことをしないと見ている政治家を選んでいるのは誰かというと、その国の国民なんですね。あいつらは悪いことをするという政治家を選んでるのは、この国の国民です。もっと言うと、北欧では税金が高いですが、不満が少ない。何故なら自分たちのためにちゃんと使われているのが分かるから。現に失業しても大丈夫でしょう。社会保障はほとんど無料だ。教育もお金がかからない。年金も大丈夫。それで何が起こるかというと、人は貯金をしなくなる。不安がないからです。そうするとお金の巡りもよくなる。経済もよくなる。そういう社会は結局、信頼が信頼を呼ぶ連鎖をしている。しかし、この国ではあいつらは絶対に悪い奴らだと自分たちが選んだ人に言って、社会は穴だらけで不安が横たわっている。そうすると少々でも余ったお金があれば貯金する。お金の巡りは悪い。経済も社会保障もすべて傷んだ社会は不信が連鎖することになる。これは相当に大きいな違いですよね。僕がよく紹介する本に、スウェーデンの中学の教科書を翻訳した『あなた自身の社会』(新評論社)があります。その本では、あなたたちは社会の当事者で、自分たちの手で社会を変革し、築くことができると教えています。さらに家庭では、幼い頃から支持政党持ちなさい、その理由を人に説明できるようにしなさいと教育するっていうんですね。その結果として投票率90%を超えてるんですよ。いかに社会の当事者であるかを有権者に伝えていくか、有権者として人を育てるかというところまでさかのぼらないと、根本解決にはならないと思います」

 それは聞いているだけで相当な手間ですが、私たちにできるのでしょうか?

「政治家は一流だけど国民は三流、国民は一流だけど政治家は三流、というのはどちらもないですよね。国民と政治家が車の両輪としてお互いに頭を打ったり膝を擦りむいたりしながら、けん引し合って成長していくしかないんです。だから時間がかかるし、一筋縄ではいかないことを覚悟してほしいです。一夜明けると全てがきれいになってないからとあきらめがちだけど、そうじゃない。これで100点満点の政治だ、ここから先が理想の社会だということはないですから、永遠にやり続ける覚悟ですね」


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