映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』が見せた希望と絶望  “勝てない”政治家・小川淳也が語った本音と覚悟(後編) (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』が見せた希望と絶望  “勝てない”政治家・小川淳也が語った本音と覚悟(後編)

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和田静香dot.
「たまには正義が勝とうよ、と思うんです」と語る小川議員(撮影/写真部・掛祥葉子)
」

「たまには正義が勝とうよ、と思うんです」と語る小川議員(撮影/写真部・掛祥葉子) 」

「小川さんは普通だからこそ異質」と話す大島監督

「小川さんは普通だからこそ異質」と話す大島監督

 現職の衆議院議員、小川淳也さんを追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』がヒットしている。その“主役”である小川淳也さんと、監督の大島新さんにお話を伺いながら魅力を探る、その後編
(前編はこちら)。

【写真】「映画に希望を見た人と絶望を見た人がいる」と話す大島監督

 映画は2017年の総選挙の奥へ入っていく。

 小川さんは「希望の党」へ合流することになり、地元の盟友でもある国民民主党の玉木雄一郎さんと並んで記者会見を行うが、その場面を見て驚いた。玉木さんを一人で見るときは気づかないけれど、小川さんと玉木さんが並ぶと、まぁ、玉木さんて、こんなギラギラした人だったっけ? 小川さんはその隣で不安そうで、まるで子どものように見える。大島さんのカメラはそんな表情も遠慮なく映し出していく。

「並ぶと分かりますよね。僕も後で見てびっくりしました。ザ政治家みたいな玉木さんと……小川さんは普通だからこそ異質なんですよね」(大島さん)

 本当にそうだ。この選挙で小川さんはひたすら悩み苦しむが、それも包み隠さず、ありのまま大島さんにさらけ出す。忖度、嘘、隠匿、およそ小川さんにはそれがない。

「でも、政治家は玉木さんぐらいが頼もしく見えるんですよね。昔風の政治家然とした人が良かったり、偉そうな人が喜ばれたりもします。香川に行くとよく聞くのは、『小川さんはひょろひょろしてるから』って。それが悪いのかと思うけど、政治家は押し出しが強くないといけないという、そういうものあるんじゃないですかね。映画の中で、もう一つのキーワードとして小川さんが政治家に向いてるとか向いてないとかいうのがあって、私もよく話に出すし、ご両親もそういう話をしますが、そういうことですよね。小川さんの、よくある政治家像との遠さというのはあります」(大島さん)

 大島さんと小川さん、共に笑って話していたが、身近な後援会の人でさえ「政治家じゃなければ小川さんは何しても大成してたよね」と言うんだそう。そもそも、政治家には向いてないのかも、と。

 でも、だからこそ、「明日は今日より厳しいかもしれない」時代に生きる若者たちが今、この映画を見るんじゃないだろうか? コロナ禍の時代の変化の中、彼らこそ若い感性で新しい政治、新しい政治家像を、何ら確信めいたものなど特にないまま敏感に求め、探し、期待し、「私たちの世代も明るくなる」かもしれないといちるの望みを託し、もしやこの人かもしれない? その声を聞いて確かめたいと、集まってきているのではないだろうか?

 大島さんは言う。

「この映画を見て、政治家の声に耳を傾ける、ということをしてくれたらいいなと思うんです。政治家の声に耳を傾け、その上で投票してほしい。映画の中でも見られる小川さんと平井さんの選挙戦は対照的で、平井さんの事務所に行くと外壁に写真がばああっと貼ってあるんですけど、それがぜんぶ安倍さん。小川さんの事務所にはありえない。それは何かというと、自民党だから入れるという投票行動につながるんですね。香川に限らず全国どこでもあることではないでしょうか。そうじゃなくて、候補者一人一人の言ってることに耳を傾けてほしい、政治家の体重の乗った言葉を見極めて欲しい、この映画でそれを感じてもらえたらうれしいです」

 大島さんの言葉を受けて小川さんも言う。

「僕にも映画の感想が届くんですが、政治は自分たちの問題であり、選ぶ側である自分たちも問われていると思ったという感想が一番うれしいですね」

 映画はヒットし、メッセージは確かに届いていると感じる。


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