永遠にやり続ける覚悟……有権者としての自分は選挙に人一倍関心を持ち、都知事選ではツイッターで「#都知事選を史上最大の投票率にしよう」というタグを広めようと呼びかけ、日本のトレンド1位にもなった。でも、結果には結びつかない。すると、途方に暮れて落ち込むんです、と伝えてみた。

「落ち込んでもいいんですよ、それでまた立ち直れば。それに、そのおかげで何人かが選挙に行ったかもしれないんです。有権者の側も自分の一票でガラリと変わるとか思い込むと実際はそんなことはないので、あきらめやすくなります。日本には有権者が1億人、自分に1/1億以上の力があると過大評価すると挫折する。でも、ゼロ/1億じゃない。あくまでも1/1億の力があると等身大で自分自身の力を評価し、そこを出発点に置いて選挙に行ってほしいです。選挙に行くという行動は必須です。それ自体が権力者に対して最大のけん制になりえるんです」

 前述したが、香川一区には地元有力メディア・ファミリーの強固な地盤を持つ自民党議員がいて、小川さんは選挙区ではなかなか勝てず、敗者復活の比例当選を繰り返してきた。「ポレポレ東中野」で会った70代の女性が言っていたように、比例区当選の議員は党内で選挙区当選の議員に比べ、発言力が弱い。理想は高くすがすがしいほどの人間性を持っていても、政治家として成功できない。有権者が永遠に続く覚悟で、最大のけん制を放っても、永田町の理論は変わらないのか?それこそが国民から覚悟を奪い、政治に絶望をさせるんじゃないのか? 

「僕も何度も絶望しかかってます。安倍さんもそうだし、官僚もそうだし、野党内の偉くなる人もそうですけど、嘘でも何でも要領よく都合のいいことを言って、下の人はどうでもいい、上へひたすら媚びへつらうことが出来る人たちだ。そうすると僕にはそれは出来ない、というところで絶望しかかる。でも、どこで踏ん張れたかというと、それを子どもに言えるか?ということです。子どもに『いいか、世の中はこんなもんだから上の人の顔色を窺い、嘘ついて都合の悪いことは呑み込み、自分は最優先で他人はお構いなしだぞ』って言えるか?です。それはもう絶対のデッドラインで言えない。そうなれば、ここでふんばるしかないんです」

 ここでふんばるしかない。それは希望と見るか?絶望と見るか?

「映画を見て、小川さんの姿に希望を見た人もいれば、これだけの人でもまたうまくいかないんじゃないかって、絶望を見た人もいます」(大島さん)

「うん、その人の立場で色々違うでしょうし、半々ぐらいでいいと思います。このあいだTVドラマ『半沢直樹』の総集編を見たんですけど、半沢直樹が不正融資を回収する勝負に勝ったとき、赤井英和さんが演じる町工場の社長が『たまには正義が勝つんだな』って言ったんです。妻と見ていて、いい言葉だなぁと言いました。毎回、正義が勝つ世の中って堅苦しいし、そう気持ちよくない。利害も損も得も欲もある。でも、たまには正義が勝とうよ、と思うんです」

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