大型契約期間中の過去四年間の成績は30勝30敗、防御率3.60と確かに芳しいものではないが、自由契約となれば過去の実績を考えても複数球団が獲得に動くことは間違いない。では、今の金子を最も必要とする球団はどこになるのだろうか。同じリーグのパ・リーグで面白いのは日本ハムだ。今年二桁勝利をマークしたマルティネスの去就が不透明で、それ以外の先発右腕は上沢直之、有原航平、高梨裕稔などがいるが、全体的に層の薄い印象は否めない。今年のドラフトも高校生中心の指名をしており、即戦力として期待できるのは3位指名の生田目翼(日本通運)だけである。また、実績のある投手はポスティング、FAで移籍する傾向が多いため、年齢構成を見てもベテランが少なく、金子が入ることによっても将来像に大きくバランスを崩すこともない。ネックとなるのは高額な年俸だが、過去数年の成績とこれまでの経緯を見てもある程度抑えられる可能性は十分にあるだろう。基本的に自前で選手を育ててチームを作っている球団だが、過去には稲葉篤紀が加入して長くチームの柱となった例もある。それを考えると金子が若手投手陣に好影響を与えるということも期待できるのではないだろうか。

 一部では、楽天が獲得に動くとも報道されているが、功労者である岩隈久志(前マリナーズ)も獲得すると言われており、ベテランが一気に二人加わるのはチームのバランスを考えても得策とは思えない。また、西の獲得に動いているソフトバンクも資金的には十分候補になりそうだが、こちらもくすぶっている若手右腕の抜擢を妨げる可能性が出てくるため、あまりおすすめの球団とはいえないだろう。

 パ・リーグはセ・リーグ以上に先発右腕を求めている球団が多い。しかし、ソフトバンクと同じく、西の獲得に動いている阪神は、オリックスと同じ関西の球団ではあるが、先発タイプの右腕は小野泰己、才木浩人の台頭もあり、どちらかというと高齢化が進むリリーフの手当の方が急務である。菅野智之に次ぐ先発投手の不足に悩む巨人も資金力を考えると当然候補になる。ただ、既に自由契約となった中島宏之とFAで炭谷銀仁朗を獲得しており、ベテランである金子も加われば、チームの現有戦力に対する閉塞感はさらに強くなることだろう。

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おすすめ球団はヤクルト?