「実行可能性を見極めつつも、単科医科大学を吸収合併する戦略に絞って考えていく必要があります(「将来計画書」)
「実行可能性を見極めつつも、単科医科大学を吸収合併する戦略に絞って考えていく必要があります(「将来計画書」)

 早稲田大学第17代総長に政治経済学術院の田中愛治教授が選出された。6月28日、同大学では現総長の任期満了(2018年11月4日)に伴う総長選挙が行われ、新総長が決定した。政治経済学術院(政治経済学部)からの総長就任は、第9代(1968~1970年)の時子山常三郎総長以来で、50年ぶりとなる。

 新総長はすんなり決まったわけではない。

 6月14日、田中愛治、島田陽一(法学学術院)、藁谷友紀(教育・総合科学学術院)の3教授で選挙が行われた際、1位島田1435票、2位田中1161票 藁谷1037票だった。過半数に達しなかったため、上位2人による再投票が行われることになった。

 そして、28日の再投票で田中1899票、島田1692票という結果になり、新総長が決まった。藁谷票が田中教授に大きく流れた形だ。鎌田薫・現総長に続いて法学部出身者が総長になることに支持を得られなかったという見方もある。

 田中愛治教授は1951 年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。オハイオ州立大学大学院政治学研究科博士課程を修了し、Ph.D.(政治学)を取得した。東洋英和女学院大学助教授、青山学院大学教授などを経て、1998年から早稲田大学で教鞭をとっている。専門は政治学。計量政治学分野で政治過程論、投票行動論、選挙分析などを講じている。なお、田中教授は、戦前の日本共産党中央委員長で戦後は右翼のフィクサーといわれた田中清玄氏の次男として知られている。

 武蔵高校出身で、東京大学の五神真総長と同窓である。東京大、早稲田大のトップが武蔵から輩出したことになる(今年3月までの東京工業大学学長だった三島良直氏も武蔵OB)。

 田中教授は選挙期間中、ツイッターで盛んに「所信表明」を行ってきた。

「私が当選しましたら、新しい風を早稲田に吹かせて、『現場の』閉塞感を吹き飛ばしたいです。建学の精神を取り戻し、自由に意見が言える環境にしましょう! 私は皆さんと共に 『お互いの意見を尊重し、』自由闊達に『議論できる大学』を構築したいです」(6月26日)

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