森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
乳児へのステロイド薬の使い方を指導してくれる小児科や皮膚科で治療を受けましょう(※写真はイメージ)
乳児へのステロイド薬の使い方を指導してくれる小児科や皮膚科で治療を受けましょう(※写真はイメージ)

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、乳児に湿疹ができたときのステロイド治療について、自身も1児の母である森田麻里子医師が「医見」します。

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 赤ちゃんが生まれてしばらくすると、多くなってくる悩みが「乳児湿疹」です。

 乳児湿疹というのは赤ちゃんの湿疹の総称で、生後1カ月頃の湿疹は、ほとんどが新生児ニキビか脂漏性湿疹と言われています。1998年から99年にかけてオーストラリアで行われた研究では、3カ月未満の子ども46人を調べたところ、71.7%に脂漏性湿疹があるという結果が出ています(1)。かなりの割合ですよね。

 しかし、1歳台の子ども176人の中で脂漏性湿疹があるのは7.5%だったことがわかっています。成長とともに、数週間から数カ月で改善する場合が多いのです。

 ネットには、便秘が乳児湿疹の原因とする記事もありますが、明確な根拠はないようです。確かに、腸内細菌叢がアレルギーに関係しているという意見はあり、乳酸菌を摂取することで、アトピー性皮膚炎や便秘が改善するかを確かめた研究はいくつかあります。しかしアトピー性皮膚炎は乳児の湿疹のごく一部ですし、乳酸菌の効果もはっきりしていません。お腹の調子が良いに越したことはありませんが、便秘を治せば湿疹が治るとは限りません。治療には、適切なスキンケアが大切です。

 脂漏性湿疹では、おでこに黄色い皮脂の塊ができたり、頬に赤い発疹が出たりしますが、他にも乾燥による湿疹やあせも、アトピー性皮膚炎、かぶれなど他の病気も考えられます。まず、小児科や皮膚科の医師にきちんと診断してもらいましょう。たいていの場合、赤ちゃんは元気で痒みは強くなく、ミルクを飲んだり眠ったりするのに支障はありません。軽症なら、スキンケアだけでよくなる場合もあります。黄色いカスは、白色ワセリンやベビーオイルを塗って柔らかくした後に、柔らかい歯ブラシや目の細かいクシで優しく取り除きます。その後、ベビーソープでよく洗い、保湿剤を塗ってあげましょう。

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森田麻里子

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森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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