「3階の展示室には約1700点を超える病理肉眼標本が臓器別に展示してあるほか、シミュレーションルームもあります。4階の展示室では約30のブースで大学の授業や各教室の研究・教育関係の展示を行うほか、約700点の実物標本も展示しています。これだけ多くの標本を展示した博物館を持つのは希少です。学生たちの自学自修の場としてだけではなく、他大学の川崎医科大学医学・医療関係者も見学に訪れます」

 2005年からすべての医学部が実施しているOSCE(客観的臨床能力試験)を1993年に日本で初めて導入したのも、全国で最も早くスーパーローテート研修を導入したのも川崎医科大学だ。

「1期生から、将来どの科に行っても全身管理のできる医師に育てるため、内科、外科、救急科を中心とした2年間の総合診療方式の研修制度を実施しました。この『川崎医科大方式の初期研修制度』は、国の主導する2年間の初期研修制度に先駆け、今から約40年前に開始しました」(福永学長)

 現在、注目されている総合臨床医学も約30年前に同大が始めた。さらに、脳卒中医学教室、救急医学教室の開設も同大が発祥の地であり、回復期リハビリテーション病棟も、特定機能病院では全国初の設置だ。

 ドクターヘリも2001年に全国に先駆けて運用し、年間約400件も出動している。

「キャンパス内の高度救命救急センターは、365日24時間態勢で患者さんを受けて入れています。ドクターヘリの運用と同センターによって、救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げていること、脳卒中市民講座などの啓発活動を行っていることも、岡山県の長寿を支えていると思います」(福永学長)

 同大の1年次は全寮制。「人間をつくる 体をつくる 医学をきわめる」という建学の理念に基づき、医師に必要なコミュニケーション能力などを身につけるためだ。2年次に5週間実施する「医学研究への扉」は、「医学をきわめる」カリキュラムだ。大多数の学生は学内の研究室で研究するが、九州大学、金沢大学、日本医科大学などの研究室で研究する学生もいる。

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