データは「大学ランキング2018」から。編集部調べ
大学の学長は他大学の様子が気になって仕方がない。新しい取り組みによって志願者を増やしたり、難易度を上げたりしたところはどこか――。少子化時代に生き残りを図るため、さまざまなアンテナを張りめぐらせているのが今日の学長の姿である。そんななか、全国の学長たちが注目し評価する、地方大学がある。「大学ランキング2018」(朝日新聞出版)の学長へのアンケートをもとに、教育ジャーナリストの小林哲夫氏が解説する。
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これほど短期間に順位を上げた大学はかつてなかった。
2016年調査で、学長からの評価ランキング「教育面で注目している」分野で5位につけたのが、群馬県の共愛学園前橋国際大だ。全国の大学学長26人から評価された。
1位金沢工業大、2位国際教養大、3位国際基督教大、4位東京工業大。これらは補習、グローバル、面倒見のよさ、教養分野、専門教育などで長年評価を高めてきた大学である。早稲田大、京都大は13位、東京大17位、慶應義塾大24位……。共愛学園前橋国際大よりもずっと順位が低い。この結果に、同大では学長以下、大学関係者が泣いて喜んだという。
共愛学園前橋国際大は1999年に開学した。
しかし、その翌年に定員割れを起こしてしまう。以後、2003年までの4年間、定員を満たさず、大学の存続が危ぶまれていた。大学としては、日本で最初の国際社会学部を作って全国から受験生が集まるだろうと期待していた。しかし、それは過信だった。