同大学の大森昭生学長(2016年就任)はこう振り返る。

「大学は反省しました。そこで、地元の高校を訪ね歩き大学に求められていることを聞いたのです。学費支援のための資格認定制、学ぶ内容をわかりやすくするコース制、地元で活躍したいという学生への進路支援などでした。これらを生かして、定員回復のシナリオを描く、いわばカンフル剤を打ったのです」

 その中身は、(1)「何を学ぶかわからない、何を学んだかがわからない」ということがないようにコースを設置、(2)英検2級、簿記2級、情報処理技術者試験(ITパスポート試験を除く)の合格者は4年間授業料を免除(現在は1年間)、(3)地元企業と連携して地域人材を育成、(4)入試レベルの維持(推薦入試の評定平均値を落とさない。定員割れの時も一般入試で不合格を出す)、(5)入学定員の削減――などだ。

 こうしたカンフル剤は少しずつ効き目を表した。

 地元の高校から信頼され、定員割れを起こさず、まじめで優秀な学生が入学するようになった。入試難易度も高まった。2010年ごろまで偏差値は40前後だったのが、いまでは50を超えている(進研模試)。入学者に占める県内出身者比率、県内就職者比率が上がった。就職実績も好調である。

 並行して、学内のガバナンス(統治機構)も変えた。教職員がフラットに参画できる大学運営をめざし、大学の方向性を左右する重要事項は、全教職員が参画できる会議で決めている。また、若手教職員がどんどん要職に就けるようになった。前学長は「学生に一番の人気」ということから40代で選ばれた。現学部長も30代で就任している。当然、全学的にモチベーションが高められていく。その結果、さまざまな教育改革が進み、最近では、いくつもの文部科学省の大きなプロジェクト拠点に選定されている。

 大森学長は次のように話す。

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