人口減少と高齢化が同時に進行する自治体では、税収減と福祉予算の増大で財政が逼迫(ひっぱく)するなか、医療など生活関連サービスをいかに確保するかといった課題や、インフラ更新やゴミ収集など行政サービスの効率悪化といった問題に直面します。そこで、公共交通を含め都市全体の構造を見直し、人々の住まいや公共施設、医療・介護施設、商業施設などを一定のエリア内に収めてコンパクトなまちづくりを進めていこう、というのが立地適正化計画です。

 立地適正化計画では、都市計画区域のなかに人口密度を維持する「居住誘導区域」が設定されます。居住誘導区域のなかには、学校や病院、行政、子育てや介護系施設、商業施設などを集約する「都市機能誘導区域」が設けられます。将来的には、居住誘導区域に人が集まって住み、区域内は生活利便施設へのアクセスがよい、快適で住みよいエリアに整備されていきます。居住ニーズが高まるため、地価や住宅価値は維持もしくは上昇する可能性が高いといえます。

 一方、居住誘導区域外のエリアは住民が流出し、加速度的に衰退が進むと予想されます。生活に不便なエリアとなり、地価水準も下落するでしょう。

 つまり、今住んでいる家が居住誘導区域内であれば、将来も持ち家の資産価値が保たれる可能性が高いので、住み続けて子どもに相続させる意義はあります。反対に自宅が居住誘導区域から外れている場合は、早めに売却して高齢者向け賃貸住宅や有料老人ホームなどに住み替えたり、居住誘導区域内に新たに持ち家を購入したりするのが、賢明な選択だと思います。

 現在、全国約300の市町村が立地適正化計画の策定に取り組んでおり、数年のうちに決定される見込みです。自分の住む地域で計画が作成されているかどうかは、市町村のホームページで「都市計画」「都市政策」を探せば見つかります。

 これとあわせて確認したいのが、地域の災害ハザードマップです。もし自宅が浸水予想区域や土砂災害の警戒区域に入っていた場合、たとえ市街地であっても居住誘導区域から外される可能性があります。

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