■自宅に住み続けるなら耐震・省エネ改修は必須

 老後も自宅に住み続ける場合、必要になってくるのが、適切なリフォームやメンテナンスです。

 自宅のリフォームやメンテナンスは、安全で快適な暮らしを続けるためにはもちろんのこと、住宅の寿命を延ばし、資産価値を維持するうえでも重要な意味があります。これまで日本の住宅は「10年たつと新築の半値、25年で価値がゼロになる」といわれてきましたが、築年数ではなく現実のコンディションで価値を評価する動きが出てきています。築年数を重ねていても、きちんとリフォームされていて建物の管理状態がよければ、高く評価されるのです。

 リフォームでまず必須なのが、耐震診断・改修です。特に、1981年6月以前に建てられた「旧耐震基準」の建物の場合は必ず耐震診断を受け、必要な改修を行うことをおすすめします。

 窓や壁、天井、床などの断熱性を高める省エネ改修も重要です。日本の家は夏は暑く冬は寒いというイメージがありますが、住宅の省エネ性能を高めれば、夏は涼しく冬は暖かく快適に生活できます。

 断熱性の高い住宅にリフォームすることは、光熱費の節約だけでなく、ヒートショックの予防にも役立ちます。ヒートショックとは、温度差によって血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす現象のこと。ヒートショックは家庭内で高齢者が死亡する原因の4分の1を占め、交通事故死よりも多い、年間約1万人もの高齢者が命を落としています。住宅の断熱性が高まれば部屋の温度差が小さくなるので、ヒートショックを起こす危険性も少なくなります。

 自宅内での転倒による骨折などの事故を防ぐために、また将来、車いす生活になっても不自由がないよう、必要に応じてバリアフリー改修も行っておくとよいでしょう。バリアフリー改修は、屋内の段差をなくし、階段やトイレ、浴室、玄関などに手すりを設けるのが基本。在宅介護に対応するためのリフォームでは、通路や出入り口の幅を広げたり、浴室、寝室、トイレなどのスペースを広くしたりする工事も必要になります。

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