社会人野球は“すべらない話”の宝庫だ。まず未来を担う逸材を探す楽しみがある。今大会も東京ガスの山岡泰輔を筆頭に、秋のドラフトで1位指名を受けそうな“エリート”が出場していた。また社会人で10年以上プレーする“いぶし銀”も見逃せない。今大会の橋戸賞(MVP)を獲得した佐竹功年は早稲田大を卒業して入社11年目。一度見たら忘れられない奇妙なフォームが特徴の右腕だ。今大会は4勝を挙げ、30イニングを1失点に抑えた。

 最近の社会人野球は“元プロ”の活躍もある。26日の決勝戦でも細山田武史捕手(ソフトバンク→トヨタ自動車)、山本淳投手(西武→日立製作所)といったプロ出身者がプレーしていた。

 才能のある選手、長いキャリアを持つ選手、挫折から復活してきた選手には、当然それぞれのドラマがある。様々な野球人生が交錯する社会人野球はそれだけ多彩で奥が深く、一度ハマり出すとなかなか抜け出せない沼のようなジャンルだ。

次のページ