由希子さん:偉くないですよ。だって、まだ平静になれないんだから。別れた後、彼のフェイスブックに女性と楽しそうに写っている写真も見つけたんです。友達って書いてあったけど、私とは全く違う、派手な雰囲気の女性でした。男の人は結局、そういう女性がいいんですね。見れば見るほど、どうせ私なんて、って思っちゃう。
しぎはら:そうか、由希子さんが敬遠する「派手な女性」に男性たちが惹かれる、それは複雑な気持ちになるよね。
由希子さん、ひとつ、大切な話をしますね。例えば梅干しを食べると種にぶつかるでしょう。みんなそれ以上噛もうとしないんだけど、思い切って噛んでみると、硬い種の中にプニプニしたやわらかいものが出てくるの。
由希子さん:え? 種の中に、ですか?
しぎはら:そう。梅干しの種の中って見たことない? 例えてみれば、そこがその人の本当の本音で、他人が入れない領域なの。なぜなら内側は誰にも見せたくないから。でも、それこそがあなたをコントロールしている潜在意識の塊でもあるのよ、自分が意識していない本音だから、やっかいでもあるし、きちんと自らが理解してあげなくちゃいけない大切な心の核なの。
■選ぶ服には意思と魂を込める
由希子さんは、自分から辛い失恋の話をしてくれました。そしてフェイスブックの話から考えても、やはり自分の心のわだかまりに気づいているのです。
自分の内なる心に気づいたうえで、最終的に由希子さんの人生がどこに向かっていきたいのか、どういう自分になりたいのかをもっと明確にしていくことが重要です。
心の奥底にあるトラウマと洋服選び、この二つに何の関係があるのか? と疑問に思う方もいるかもしれません。でも、まさにここに由希子さんが今回選ぶべき服のポイントが隠されています。今までの自分のわだかまりを捨て、新たな自分に出会うには、自分の中でそのトラウマにピリオドを打たない限り、永遠に前に進めないのです――。
選ぶ服には、その意思と魂を込めなければなりません。
服は選び方しだいで自分のために忠実に働き、パワーを与えてくれます。しかし、どんなに素晴らしい服も、あなたがそれを着た時にどんな女性になりたいか、見られたいか、そしてどういう理由で選んだのかという意思がなければ力の出しようがないのです。
つまり、ただ漠然と無難なものだからという理由で服を選んでいたら、その服がパワーを発揮することはありえません。
■当たり前の感情「嫉妬」を受け入れる
しぎはら:由希子さんがお見合い相手の誰に対してもダメだと思ってしまうのはなぜなのかしら。ほとんどの女性は、ある日王子様がやってきて自分を幸せにしてくれたら、と願っているかもしれないけど、そんなことはありえないと思うの。
由希子さん:そうかもしれないですけど……。
しぎはら:恋愛していて幸せって思っている女性は、必ず心の中で「私もこの人を幸せにしたい」という気持ちをもっているはず。実は愛してもらうよりも人を愛することのほうが幸せだと思うの。自分から愛せたら本当に幸せって実感できるのよ。こう言うと、反発する女性も多いんだけれど、全力で恋愛して、2回も離婚して、体重が10キロも減ってうつになっちゃうような痛みも経験してきた私が、結局気づいたことなの。そこまで自分が思ってなくても相手が愛してくれれば幸せ、って思える人もいるけど、本気の恋愛と、そして痛みも知っている由希子さんはきっとそのタイプじゃないと思ったの。
由希子さん:確かに、そうかもしれません。
しぎはら:つまり、自分から誰かを好きになる心が大切なの。そのために、まずは由希子さんの心の中で片づかないまま放置していた問題を整理すること。
由希子さん:しぎはらさんが何を言いたいか、わかります。私が敬遠してきた女性たちと元彼のことですよね。でも、具体的にどう考えて何をすればいいかわからなくて。
しぎはら:自分の心を受け入れること。今日、由希子さんの口から「派手な女性たち」という言葉が何回か出てきた。それは、彼女たちに対してのこだわりと複雑な感情があるからよね。軽蔑があったとしても、羨ましいという気持ちもあった。