【BEFORE】「それ、ムリ」「でも、ムリ」が口癖。失恋と嫉妬の複雑な感情にとらわれ続ける 34歳・由希子さん(イラスト/pai)
【BEFORE】「それ、ムリ」「でも、ムリ」が口癖。失恋と嫉妬の複雑な感情にとらわれ続ける 34歳・由希子さん(イラスト/pai)
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由希子さんのヒアリングシート
由希子さんのヒアリングシート
【AFTER その1】しぎはらさんが選んだ「無難に浸りきっていた魂を呼び覚ますような強烈な一着」を着て、みるみる表情が変わる由希子さん(イラスト/pai)
【AFTER その1】しぎはらさんが選んだ「無難に浸りきっていた魂を呼び覚ますような強烈な一着」を着て、みるみる表情が変わる由希子さん(イラスト/pai)
【AFTER その2】2着目は淡いピンクのワンピース。由希子さんの頬は紅潮し、自然にポージング(イラスト/pai)
【AFTER その2】2着目は淡いピンクのワンピース。由希子さんの頬は紅潮し、自然にポージング(イラスト/pai)
【AFTER その3】3着目は着ただけでパッと華やぐような、ピンクオレンジのワンピース。目は潤み、自信にあふれた表情の由希子さん(イラスト/pai)
【AFTER その3】3着目は着ただけでパッと華やぐような、ピンクオレンジのワンピース。目は潤み、自信にあふれた表情の由希子さん(イラスト/pai)

「初めて男の人に奢ってもらいました」「こんなに扱われ方が変わるなんて」と口コミで評判。予約3カ月~半年待ちの「個人コーディネート」が話題を呼んでいるのが、ファッション・プロデューサーしぎはらひろ子さんだ。「男性が惹かれる女性の服とはどんな装いか、を勘違いしている女性が多いからこそ、知ってほしい」と、このほど『愛されリアルコーデ』を出版した。その中から、3つの願いすべてが「モテ、モテ、モテ」の相談者、由希子さんの例を紹介する。

*  *  *

 相談者は、強い結婚願望を持つ34歳の女性、由希子さんです。高校、大学ともに女子校育ち、学生時代から男性と接する機会が少なく、あまり男性慣れしていないという女性で、とにかく物事に対してもご自分に対しても否定的。お会いした一日の間に、「私にはムリです」「それもムリです」と何度言われたことか……と思い出します。

 そんな彼女には、スタイリングを通して、女性として生きるために大切な自信、そして女として生きるうえでの戦略について、じっくりとお伝えしました。

 由希子さんは、出会いを求めながらも、頑なでとっつきにくい雰囲気が男性を遠ざけてしまう、自ら損をしている女性でした。そんな女性がスタイリングを通してどう自分を見つめ直し何を得たのか。出会い、また婚活のヒントになることがたくさんあるので、ぜひトップバッターとして読者の皆さまにご紹介したいと思い、登場してもらいました。

 さて、私は相談者と会うにあたり、事前に「ヒアリングシート」の記入をお願いしています。前ページは、そのなかでも重要な4項目。これは自身のプロフィールや憧れの人物像、悩みなどを書いてもらうもので、私にとっては、相談者の心の内側を教えてくれる大切なヒントになります。自分自身がどうありたいかを言葉にできないと埋められないので、相談者は必然的に自分自身と向き合うことになります。

 ですが、だいたいの人が解決したい悩みをオブラートに包んだような感じで曖昧に書いたり、一見はっきり書いているように見えて明かしてくれない悩みを抱えたりしています。根源的な悩みにいたっては95%の方が書いてきません。というのも、恥ずかしさと、またご自身の深層心理に気づいていないことが多いからなのです。

 由希子さんのヒアリングシートには、スタイリングで「得たい効果」という項目に、

「モテ、モテ、モテ」

 と太く大きな書体で力強く、書いてありました。ここまではっきり意思表示ができる方は一見、とても珍しい。自分の欲求について明確にわかっているように見えますし、結婚相談所にも入会しているほど婚活にも精力的。にもかかわらず、今まで結婚が成就されず私のもとにきたのですから、何かしら問題を抱えているはずです。

 このとき私は、男性に対して「つい構えてしまう」というところに少し、ひっかかりを感じました。ヒアリングシートには、こういうちょっと気になる言葉に大きな手掛かりが潜んでいることが多々あるのです。

■「目立ちたくも劣りたくもない」無難チョイスの服

 スタイリング当日。私たちは、ある水曜日の午前11時に都内の某老舗百貨店前で待ち合わせをしました。

「こんにちは、よろしくお願いします」

 笑顔であいさつして下さった由希子さんは、白のツイードジャケットに、紺のタイトスカートという格好でいらっしゃいました。とても誠実でしっかりしている女性に見えました。彼女が選んだこのコンサバティブな組み合わせは、どこに着て行っても後ろ指をさされることのない、社会人としてきちんとした印象を与える装いです。

 一方で、髪の毛は後ろで一つにまとめ、メイクも薄め。真面目には見えますが、少々辛口に言えば、これは自分が特別目立ちたくもなく、特別劣っていたくもない“無難な自分でいたい”という典型的なチョイスだと感じました。無意識に自分に与えている評価は、往々にして服装のチョイスに表れます。

 まずはカフェの個室に入り、ヒアリングを始めます。最善のコーディネートを選んであげられるよう相談者の心の声に耳を傾け、奥底にある本音を聞き出していく時間です。

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