■服を着た瞬間に“女優スイッチ”を入れる

 3着の試着を終えた由希子さんの笑顔は、輝きで満ちあふれ、優しさの中に強い意思を秘めたオーラが漂い始めていました。たった5時間で表情や内側から発するものがこんなにも変わる。この瞬間がスタイリングの醍醐味です。

 試着後は毎回お茶をしながら、それぞれの服をどんな気持ちで着ていくべきかをレクチャーします。この時すべての女性にお願いするのが、

「その服を着た瞬間“女優スイッチ”も一緒に入れてください」

 ということ。つまり今回なら、好きな男性の前に立つ、愛される素敵な女性のイメージ。自分に“なりきり力”がなければ、どんな服も素敵になりません。

 逆を言うと、着た瞬間に身体の中から喜びが湧くような、なりきり力を持った服しか連れ帰らないでくださいとお願いしています。ただ服を買うのではなく、あなたの強力サポーターとしてクローゼットに招き入れていただくという感覚です。

■嫉妬させる服は、自分が着る

しぎはら:3パターンを選んだけど、実際に着てみてどうだった?

由希子さん:驚きの連続でした。鏡の中に見たことがない自分がいて、服を着てこんなに幸せな気分になるなんて。

しぎはら:そう言ってもらえると、本当に嬉しいわ。最初に着た白いレースのワンピースを着てどこに行きたいか、これを着た自分を誰に見せたいかイメージしてみて。(由希子さんに試着時の写真を見せながら)この白いワンピースを着ている人はどんな性格の人に見える? ドラマの中にこういう人が出てきたら、どんな役だと思う?

由希子さん:きっと明るくて清楚な女性、ですよね。

しぎはら:明るくて聡明で清楚な女性ね。女性がこういう格好しているのにB級グルメに連れて行く男性は、ちょっとセンスがない。

 実は、私が主催している男性向けの服飾戦略の講座の時によく男の人に聞くんです。

「公園にいます。彼女が真っ白いワンピースを着ていて、さらにヒールを履いていて足が痛いって言ったら、どうしますか?」って。そしたらやっぱり、「どうにか助けないといけないと思う」ってみんな答える。「じゃあTシャツにジーンズで同じことを言ったら?」って聞いたら、「それほど心配しないと思う」って言うんです。

 男の人は相手の服装によって見方と態度が変わるんです。服って上手に使うと相手をコントロールできるものなのよ。それだけ、白には強い力があるのよ。

由希子さん:そうなんですね。白は初デートとか、特別な時に着ていきたいですね。

しぎはら:次は、2着目で撮ったときの写真を見て。淡いピンクのドレープワンピを着た由希子さんはどんな感じの人だと思う?

由希子さん:この人はなんか、元気で親しみやすそうな感じですよね。2軒目も付き合ってくれそう。

しぎはら:これをライバルだと思った子が合コンに着てきたらどう?

由希子さん:絶対嫌ですね。なんか負け感を覚えちゃう。

しぎはら:もしそう思ったなら、ライバルに着られて悔しいと思う服を自分が着なきゃダメ。「この女の子には負けた」って思う服を自分が着なきゃダメなの。そうしていかないと、欲しいものをみんな誰かに取られちゃうわよ。

 いい? これだけは覚えておいてね。どんなときも「この女の子には負けちゃう」って思われるようなものを選ぶのよ。小物やアクセサリーも同じ。それは、とても嫌な女に思えるかもしれないけど、自分が「負けた!」と思うものを持つというのは、逆に「これがあれば自信が持てる」ということの裏返しなのよ。僻むほうではなく、僻ませるほうにならなくちゃ。

由希子さん:はい。今まで考えもしませんでした。

しぎはら:それこそがつまり、願いを叶えるパワーのある服なんですよ。例えば自分の意中の人を狙ってる女の子がいて、由希子さんがこれを着ていたら、その女の子は負けたと思って身を引くの。だからこういう服を着てチャンスをつかんでください。これこそが夢を叶える服なんです。絶対結婚したいと思うのなら、素敵な男性を引き寄せなきゃ。あ、それとね、ピンクは色彩心理学でも恋愛の色とされてるの、知ってた?

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