「国家試験の勉強を後押しする環境の整備、学生に対する手厚い教育でしっかりと勉強できます。医師国家試験の合格率が高いこと、臨床検査学科、看護学科、リハビリテーション学科などの6学科を有する医療科学部があること、病床数1435床で大学病院として最多の病床数を誇る附属病院でチーム医療を学べることが、本学の強みです」

 ここ5年の医師国家試験の平均合格率は94.8%で、16年の合格率も94.5%と高い。今後は、医療のグローバル化にも対応していくという。

「大学院に医療通訳コースを設けています。学生の海外実習は選択制ですが、将来的には全員が海外での医療体験ができるようにしたいです」(星長学長)

 中部地方の“空の玄関”、中部国際空港内に、同大の診療所がある。18年1月には、大学病院の新棟に外国人を受け入れる国際医療センターも新設する予定だ。通学できる医学部が数多ある「地域性」だけでなく、各医学部が取り組む「先進性」も、名古屋圏の強さにつながっている。

■「ここでええがや」地元志向が強い風土

 取材では、異口同音にこんな回答があった。

「地元志向が強い」

 医学部とは無関係にも思えるが、なぜか。愛知医科大学の岡田副学長は、こんな推測をする。

「名古屋の人は、名古屋が大好きです。濃尾平野が広がり、昔から食べるものには困らないから、外に出て行かなくてもいい。遺伝子の発現状態がそうなっているのだと思います。東京や大阪ほどの大都会ではないものの文化的な生活を送ることができて、美しい自然も残っている。『ここにあるがや。ここでええがや』と、地元志向が強いのだと考えます」

 いわば、名古屋“愛”の強さが優秀な学生を地域にとどめる理由になっているのかも、と。

 加えて理由として挙げられるのが、中京地区で絶大な影響力を及ぼすだけではなく、日本を代表する企業・トヨタ自動車の存在だ。

「経済的に恵まれているトヨタの社員は、高額な学費が必要となる私大医学部でも通わせたいと願う人も多いようです」(地元の教育関係者)

 有価証券報告書によれば、トヨタ自動車の平均年収は約852万円(15年度)。あくまで参考値ではあるが、地域に高所得者層が多いことも推測できる。

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