しかし、それではわが家の今の状況と同じですぞ。妻が切れつつ物事を決めて、拙者は内心モンモンとしつつも従うのみ。さっぱり問題は解決しておりませぬ!
■認知バイアスを捨てる
「『人間は努力すれば、お互いに理解しあえるもの』という幻想というか認知バイアス(脳が効率よく作動しようとした結果、生まれる思考や判断のクセのこと)を、双方が捨てることで、決める人も従う人も相手に腹が立たなくなります。育児の決定権を持つ妻はブチ切れずに済むし、従う夫も不満をためこまない」
そういうもんだと割り切ることで、無用なけんかはなくなると。
「妻が怒るのは夫に欠点があるから。でも妻は夫も自分も完全無欠な人間ではないと知っているはず。欠点があるのが『当たり前』なら、それを怒るのは間違い。お互いに欠点を補完し合って、いい意味で『割れ鍋にとじ蓋』でいることこそ、夫婦円満の秘訣では」
一心同体ではなく二心二体を認め、子に対峙いたすことこそ真のイクメン道と見極めたり! 拙者と新米パパのイクメン修行は生涯続行じゃ。おのおの方、覚悟なされよ!
池谷裕二(いけがや・ゆうじ)先生
東京大学薬学部教授。「脳の可塑性の探究」をテーマに研究を行う。同時に脳の最先端の知見をわかりやすく解説、発信。2児の父。近著『ココロの盲点』は夫に悩む妻も必読の一冊
※AERA with Baby 2016年4月号より抜粋