3月中旬には、株価は一時1万7000円を割った(c)朝日新聞社
3月中旬には、株価は一時1万7000円を割った(c)朝日新聞社

 世界は急速な景気後退期に入った。米国では、新型コロナウイルスによる死者は2800人を超え、米国銀行大手のモルガン・スタンレーは、2020年4~6月期の米国の国内総生産(GDP)の見通しを前期比マイナス30.1%(年率換算)と予測している。

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 米国に比べれば感染拡大が制御できている日本だが、それでも経済への打撃は大きい。大手デパートの3月1~14日の売り上げは、前年同期比で2~4割程度下回った。JR東日本によると、首都圏で不要不急の外出自粛要請があった土日の週末(28~29日)は、新幹線や特急列車の利用者数が前年同曜日比で7割減ったという。

 自粛による経済停滞だけではない。日本では、新型コロナが世界で猛威を振るう前から、景気後退期に入っていた。元内閣官房参与で、安倍晋三首相の経済政策ブレーンだった京都大の藤井聡教授は、こう話す。

「2019年10~12月期のGDPは年率換算で前期比マイナス7.1%でした。これはもちろん消費増税が原因です。政府は、消費の下支えとしてポイント還元事業などをやりましたが、ほとんど意味がなかった。消費増税によって日本経済の基盤が崩壊したところに、新型コロナが日本を襲いました。リーマン・ショックや東日本大震災直後をはるかに超える経済的ダメージで、19年10月~20年3月の名目GDPは2割減になる可能性もあります」

 感染拡大の終わりが見えず、自粛による経済活動の落ち込みは3カ月目に入ろうとしている。そこで、世界では大規模な財政出動を伴う対策が次々と打ち出されている。

 米国は最大2兆ドル(220兆円)規模の経済対策を表明。トランプ米大統領は「リセッション(景気後退)に陥れば、自殺者は数千人になる」と訴え、1人あたり最大約13万円の給付するほか、売り上げの落ち込みが激しい飲食店や宿泊業界への支援を検討している。個人事業主にも失業保険を広げる。英国は、サービス業を中心に税金の1年免除、休業した従業員の給与の8割を補償する。フリーランスも補償の対象だ。

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世界の経済対策は現金給付が中心