3月31日、ヘンリー王子とメーガン妃はイギリス王室を正式に離脱。「開かれた英王室」の象徴とされた花嫁は、わずか682日間で王室と決別した。AERA2020年4月6日号では、2人の歩みを振り返る。
【「682日間のプリンセス」婚約発表から王室離脱までの出来事】
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3月9日、ヘンリー王子(35)とメーガン妃(38)はウェストミンスター寺院で行われた「コモンウェルス・デー(英連邦加盟国の記念日)」の礼拝に出席し、最後の公務を行った。
1月8日に夫妻がインスタグラムで突如発表した「離脱声明」から約2カ月。鮮やかなグリーンのドレスを身にまとったメーガン妃は、終始堂々とした様子だった。
立っているときはヘンリー王子と手をつなぎ、座れば王子の手を自分の膝にのせる。イギリスのロイヤルカップルは、あからさまな愛情表現をしないのが伝統だ。メーガン妃は過去に王室から王子とのボディータッチを控えるよう注意されたといわれるが、意に介さない。いつも通りのメーガン流を貫いた。イギリス王室に混乱をもたらしたことに対する謝罪や、ロイヤルメンバーとして過ごした日々に対する感謝の言葉は、最後まで聞こえてこなかった。
2人はこの後、カナダに戻り、3月末日をもって正式に王室から離脱する。結婚からわずか2年足らず、メーガン妃は682日間のプリンセスだった。
夫妻と王室との関係は最悪で、イギリス国民の視線も冷ややかだ。メーガン妃に対する激しいバッシングがこうした事態を招いたといえるが、当初は歓迎ムードが漂っていた。
ウィンザー城の礼拝堂で結婚式が行われたのは2018年5月。母親がアフリカ系アメリカ人であること、アメリカの元俳優で、ヘンリー王子より年上で離婚歴があること。こうしたメーガン妃の異色の経歴は、「開かれた英王室」のシンボルとして捉えられた。挙式後、馬車で1時間ほどウィンザーの街を巡った際には、熱狂的に「メーガン!」と呼ぶ声が飛び交った。妃の姓から「マークル・スパークル(光り輝くマークル)」というニックネームも生まれた。
エリザベス女王(93)も率先して歓迎の姿勢を見せた。ロイヤルファミリーは毎年、クリスマスをサンドリンガム邸で過ごす。本来なら配偶者のみが招待されるこのパーティーに、結婚式前のメーガン妃は特別に招かれた。さらに結婚後1カ月足らずで、女王は地方公務に妃を同行させた。2人は王室専用列車に1泊したが、この列車にウィリアム王子(37)の妻、キャサリン妃(38)は乗ったことがない。道中、女王は時間を取ってメーガン妃の話に耳を傾けたという。エリザベス女王の寵愛ぶりに、「キャサリン妃は、メーガン妃にやきもちを焼いている」という噂が立つほどだった。