それがいつからか、メーガン妃に逆風が吹き始めた。
まず派手なお金の使い方に注目が集まった。新居に選んだフロッグモア・コテージの改修費、約3億4千万円は税金から支出された。妊娠を祝うパーティー「ベビーシャワー」のためにニューヨークに渡航し最高級ホテルに宿泊、費用総額は5500万円と見積もられた。同月にモロッコに外遊した際には、1着約1千万円のドレスが話題になった。
この時期、イギリスはEU離脱問題に揺れていた。メーガン妃の浪費に厳しい目が注がれ、「イギリスのマリー・アントワネット」と揶揄された。
言動にも批判が集まった。
ブリストルで路上セックスワーカーをサポートする団体を訪問した際には、女性たちに渡すバナナの皮に黒の油性ペンで「あなたは愛されている」「あなたは勇気がある」などと書いた。メーガン妃に悪気はなかったかもしれないが、「何もわかっていない」「上から目線」などと、彼女たちから怒りを買った。
19年5月に長男アーチー君を出産した際も、完全な祝福ムードにはならなかった。ヘンリー王子が「妃は陣痛に入った」と発表した時点で、アーチー君はすでに誕生していた。出産した病院の名前も担当医も、ゴッドペアレント名も明かされなかった。ロイヤルベビーの誕生は、本来なら国内がお祝い一色になる一大イベントだが、その秘密主義に国民には不信感とわだかまりが残った。
メーガン妃の言動はことごとくバッシングされる状態に陥った。「特権があるが義務を負うロイヤルと、一般セレブとの区別がついていない」。それが多くのイギリス国民の思いだ。
こうした問題が積み重なり、「離脱声明」は発表された。(ジャーナリスト・多賀幹子)
※AERA 2020年4月6日号より抜粋