「こんなに軟らかい土だからおいしい野菜が育つんだと納得しました。地元に根差した観光産業のあり方や生活様式を見直すきっかけになりました」
人材をつなぐ取り組みは、地方でも充実が図られている。リクルートジョブズは、農家などのアルバイト採用をサポートするため、HP作成サービス「ジョブオプLite」を無償提供。入国制限の影響で外国人技能実習生らの人材難に悩む農家の求人支援にも乗り出した。
リクルートワークス研究所主任研究員の中村天江さん(47)は「観光・ホテル業はもともと地場産業とつながりが強く、助け合う関係を築きやすい」と指摘。人口減少で企業と人材の関係が変わらざるを得ない中、従業員シェアは多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視する新たな社会像を下支えすると見る。
「今回様々な地域や企業間で人材をシェアする仕組みができれば、人材の需要と供給の一時的な偏りを乗り越えるレガシーになります。日本の企業には退職した社員や副業人材も積極的に受け入れるなど、柔軟な人材活用の余地がまだまだあります」
柔軟な人材活用とネットワークの強化。これがアフターコロナの経済循環を支える基盤になる。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2020年6月22日号