佐藤ママ:当日の注意点を声に出して前日によむこと。例えば、共通テストは解答欄を間違えるといったマークミスが命取りになります。だから、(1)1問目から順番に解くこと(得意なところから解こうとすると答えを書くところがずれる恐れがある)(2)わからないときはあてずっぽうでもいいので一応答えをマークシートに塗りつぶしておく(後でもう一度考え直そうとして解答欄をあけておくとその後の答えを書き間違う)(3)とにかくどんどん次の問題に進むこと、というようなことを書いておいておくことです。
わかっていても、本番の時には忘れたりします。マークシート方式は、解答のズレが一番怖いですから、そうした注意点を箇条書きにしておいて15日に心を込めて音読するのです。
受験ではないですが、あるフィギュアスケートのコーチは、演技の前に選手に大事なことを声に出して言わせているという話を聞きました。自ら声に出すことで注意を喚起できるということです。何事も本番に臨むときにすべきことは同じだなと思いました。人間は本番を前にするとやはり少なからず緊張して、それまで何度も何度も確認してわかっているはずのことでもできなくなってしまうものなのです。最後の最後で、口に出し自分の声を耳に入れることがミスを防ぐことにつながります。
不安は心の中に抱え込むと膨らむものなのです。その不安は、声に出すことによって吐き出しましょう。意外と効果がありますよ。
――親も心配しています。周りの人はどのように接すべきだと思いますか。
佐藤ママ:子どもにかける言葉に気を付けることですね。特に、よその家庭の子どもの受験ことは話題にしない。必ず、いやな雰囲気になりますから。お母さんは自分の子どものことだけ考えることです。
よく言いがちな「がんばりなさい」もあまり意味のない言葉です。子どもはもうすでにがんばっていますから、今の時期、親が自分の気休めのためにいうそのような言葉はいらないのです。
また、腫れ物にさわるような態度もさけたいところ。実は、親子で不安な気持ちは口にしたほうがいいのです。でも、元気よく、明るい言い方にしましょう。朗らかな調子で「ママは昨日不安で寝られなかったわ」と言えば、子どもは「ちゃんと寝ろよ」と返してきます。「焦るよね」「不安だよね」と認めつつ、「それはみんな同じだし、やらないとね」という明るく前向きの空気感を出すことが大事ですね。
それから、友人と連絡を取り合って励ましあったりしたくなるものですが、そのようなことは時間の無駄です。受験は一人で立ち向かうものですから、友人に寄りかかるような気持ちは持たないことです。この時期、友人との連絡は全く不要。目の前のことから逃避しないことです。友人からのLINEもスルー、電話がかかってきても「悪いけど」といってすぐ切る。わが家の受験でも直前期には、友人と連絡を取ることはなく、携帯が鳴ることも一切ありませんでした。合格めざしてひたすら走る。それくらいの覚悟をもって自分の人生を歩んでほしいです。
――気の持ちようはそんなに大事なのでしょうか。
佐藤ママ:「合格したい」という気持ちがいかに強いかということは意外と合否に影響します。例えば、数学の問題を解きながら、もう一押しして考えようと思うのは精神力なのです。
今年は新しい形式に変わったからといって、受け身になってはいけません。攻めは最大の防御。「敵はどんな問題で攻めてくるのか」と相手の出方を楽しむくらいの気持ちで試験に対峙してほしいですね。
受験はいわば人生のビッグイベントなのです。このような形式の試験は大人になったら受けることはなくなります。18歳でこうした人生を左右するような試練を経験できることは、素晴らしいチャンスだと思って頑張ってください! (まとめ/AERAdot.編集部 鎌田倫子)
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