佐藤ママ:末っ子の長女の大学受験のときでした。娘は何事もまじめにきっちりやるタイプで、高校2年の2月ころ、勉強をがんばりすぎたせいか、熱が出て、だるさを感じるようになりました。3月の終わりには、首にしこりができてしまい、急性リンパ節炎が疑われました。
そのとき「命が一番大事。今年度は受験できなくてもいい。焦らず治そう」と母親として覚悟を決めました。高校3年の4月は、ほとんど学校にはいかず、自宅でゆっくり休ませました。受験の出ばなをくじかれた感はありましたが、ゆっくり休むうちに5月中旬にはしこりが消えて、学校にも行けるようになりました。
幸い、その後は体調を万全に整えることができ、現役で合格することができました。長女の受験の時は、心から「受けられただけでありがたい」という思いでしたね。
――なるほど、そうした経験もあって、「ありがたい」という言葉につながるのですね。しかし、頭ではわかっていても、不安をぬぐえないときもあります。心を落ち着かせるためのコツはありますか。
佐藤ママ:この時期は、今日1日の24時間をどうやって生きるのかだけを考えるのです。昨日のことはもう忘れる、明日のことも心配しない。今日やることだけに集中するのです。
でも、頭の中だけでその日にやることを考えていると、あれもやらなければ、これもやってないと焦りが募ります。目に見える形にすることが第一のコツでしょうか。
わが家の場合、センター試験の直前は、現代文、古文、漢文と1日にやるべき科目をひとつひとつ付箋にかいて、20枚ほど貼っておきました。やり終えたらそれをはがす。そうやってはっきり目に見えるようにしました。その日にはがせなかった付箋は次の日に残し、それにまた足していきます。例えば今日やり終えることができずに3枚残ったら、明日は17枚を新しく貼り、計20枚をはがすことに明日は集中する。そうやって、すべての科目をまんべんなくやるようにしていました。
心を落ち着かせるには、声を出すことも有効です。古文や漢文の注釈なども音読すると読み飛ばすこともなく気持ちも落ち着きます。
――試験前日に緊張してきたら何をすべきでしょうか。