半面、「予防」のための支出は医療費控除の対象外になるため、外出時のマスクやフェースシールド、手指の消毒液などの購入費用は医療費としては認められない。
外出自粛でまとめ買いした常備薬などは、セルフメディケーション税制で申告できるかもしれない。この税制の対象となるスイッチOTC医薬品約1800アイテムについては、薬局やドラッグストアなどのレシートに目印となるマークが記載されているので確認しよう。
コロナの感染拡大の影響で、20年には多数のイベントや公演などが中止、延期を余儀なくされた。20年2月1日以降に開催を予定していたイベントや公演などで文化庁やスポーツ庁の指定を受けたものは、出演者を支援したいなどの理由からチケットの払い戻しをしなかった場合、特例で寄付金控除が受けられる。
申告できるのは、1人につき1年で最大20万円分まで。プロスポーツのシーズンチケットなどで20万円を超えるものは、20万円までが控除の対象となる。
控除方法は、課税額を計算する前の「所得」からマイナスする「所得控除」と、計算後の「税額」から差し引く「税額控除」のいずれかを選択する。
山本宏税理士事務所の代表・山本宏さんは「年収が数千万円という人を除けば、税額控除を選んだほうが節税効果は大きくなる」と助言する。
控除を受けるには、事前に主催者に連絡して「指定行事認定証明書」と「払戻請求権放棄証明書」を取り寄せ、申告書と一緒に提出する必要がある。気を付けたいのは、主催者に「払戻請求権を放棄する」意思を示した日が属する年によって、申告のタイミングが変わることだ。20年中に意思表示をした人は今回申告する必要があるが、21年に主催者に連絡を取る場合は来年の申告となる。
さて、20年は医療・介護従事者や生活困窮者、営業自粛で大幅減収となった飲食店や宿泊施設などに対する寄付などの善意の輪が大きく広がった。こうした寄付や寄付型のクラウドファンディングに支払ったお金も、寄付先が税制優遇を受けられる法人であれば寄付金控除の対象になる。対象となる法人はパンフレットやウェブサイトに「税控除対象」などと明記しているところが多い。不明の場合は直接問い合わせてみよう。