「近年の巨人では川相昌弘(11~18年)、井端弘和(16~18年)の内野守備の指導が好評だった。これは守備の中心である二塁手、遊撃手の指導ができたから。川相は今年、阪神臨時コーチに呼ばれ、バントのみでなく内野守備も丁寧に教えている。阪神OBではないが、実績があるから選手も熱心に話を聞く。大きな財産になってくれれば良い」(阪神担当記者)
内野守備は二塁や遊撃が本職だった人が教える傾向が強い。フットワーク、グラブ捌き、送球、サインプレー。守備に必要な全ての動作、技術を身につけており、センターラインとして守備の中心にいたからだ。藤本敦士・阪神一軍内野守備走塁コーチなども、同様に重宝されている。一塁と三塁が専門だった村田だけに、守備に関しては捕球や送球という基本分野の指導が主となるようだ。
「将来的な参謀役が期待されているのでは。現役時代の実績は十二分で人望が厚い。チーム内で不満が出たとしても、抑えることができる。あの風貌でベンチにいれば、相手チームだってケンカをふっかけられない。ここに指導の技量が備われば、最適な存在になれる。いわば『一般職』のスペシャリスト」(元在京球団編成担当者)
ビジネスの世界では、大まかに以下の3つに分類される。『総合職』は判断を要する立場で管理職候補。『一般職』は『総合職』の補助的な立場。そして『専門職』は特殊な技術や知識などが必要な業務となる。
巨人での『総合職」は次期監督候補とも言われている阿部慎之助二軍監督、桑田真澄一軍投手チーフコーチ補佐などが該当する。『専門職』と言える技術指導は、石井コーチの主導となりそうだ。そうなると村田コーチに求められるポジションは、参謀役の『一般職』となる。
村田コーチは、キャンプ中の練習試合から一塁ベースコーチにも立つ。原辰徳監督は、今季はこの形で行くのか?と問われ「そうですね。ここで約束、断言はできませんが」と否定はしなかった。選手に最も近いグラウンド上で声を出すことでチームに貢献していくという。目指すコーチ像に近づくにはもってこいのポジションでもある。
「選手の手助け=監督の手助け」とも聞こえる。これは本人が自らの立ち位置、役割を理解しているからこそ可能になる。適材適所がなされている組織は強固だ。村田コーチの存在が、強い巨人の象徴になる日は近いのかもしれない。