一方で大学側の意図をくみ取って、対策をした高校もある。昨年と今年、同大に80人近い合格者を出した神奈川県立厚木高校の矢野悟教頭は「本校は以前から学校をあげて思考力、判断力、表現力の育成に力を入れており、青山学院大を含めた新しい入試制度への対応がうまくいった」と話す。
■立教は独自英語を廃止
新たに共通テストを利用したのが上智大だ。青山学院大と同様、共通テストと学部学科試験の併用方式を導入した「個別学部日程」の志願者は減らしたものの、共通テストの得点のみで合否を判定する方式を新たに設けたことで、大学全体の志願者は昨年を若干上回った。
大胆な入試改革が奏功し、昨年比約107%と志願者を増やしたのが立教大だ。ポイントは二つ。一つは独自の英語試験の廃止だ。文学部を除き、英語資格・検定試験のスコア、もしくは共通テストの成績を利用する。英語資格・検定試験は英検やGTECなど7種が利用でき、出願期間初日からさかのぼって2年以内のスコアを有効にしている。複数のスコアを使って出願すると、独自換算で最も高得点のスコアが採用される。立教大入学センター入試広報担当課長の和田務さんは、その狙いを次のように語っている。
「本学では20年度から、1年生全員を20人の少人数クラスに振り分け、英語のディベートを行う授業を必修化しました。新しい英語カリキュラムで学ぶためには、4技能をバランス良く身につけていることが求められるが、大勢の受験生が受ける大学入試で測るのは難しい。そこで英語資格・検定試験の活用に踏み切りました」
■思考型問題は意義深い
もう一つが受験機会の大幅な拡充だ。一般入試を「全学部日程」方式に変更。受験生は複数設けられた試験日のなかから自由にチョイスできるようになった。この方式により、文系学部は最大5回(文学部は6回)受験することができ、他大学との併願も格段に組み入れやすくなった。
試験日をすべて「全学部日程」とする方式は、関東の有力大学では立教大が初めてだという。関西では立命館大などで実施されている。前出の駿台の石原さんは、次のように話す。