大学入学共通テストの初年度となった2021年度入試では、早稲田大学をはじめ有力な私大が独自入試改革も実施した。ただ、志願者数だけを見ると明暗が分かれた格好だ。AERA 2021年4月5日号の記事を紹介する。
【一覧表】人気私大が軒並み減 早慶上理MARCHの志願者数はこちら
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入試改革初年度といわれた2021年度入試。私立総合大学の多くが一般選抜の志願者を1割以上減らすという異例の展開となった。駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さんはその理由を「既卒生の減少が大きい」とし、こう指摘する。
「今年はセンター試験から大学入学共通テストに変わるなど、変化を嫌って既卒生が2万人減少しました。既卒生は1人当たりの出願数が多いため影響が大きかったのです」
早慶上理、MARCHの一般選抜志願者数を昨年と比べると、早稲田大、東京理科大、青山学院大、法政大の減少幅が大きい。石原さんは「コロナの影響で受験生が併願を絞ったため、併願が多い大学で減少しました。法政大はその影響でしょう」と話す。
■早大政経は数1A必須
今年注目されたのが、一般選抜を刷新した大学、学部の志願者動向だ。早大の政治経済学部、上智大、青山学院大、立教大などが該当する。とりわけ関心を集めたのが、早大で最も難易度が高い看板学部の政治経済学部だ。学部別の志願者は、前年度より約30%減少した。前年度までは個別試験で外国語と国語が必須、日本史・世界史か数学を選択する、いわゆる私立文系型の3教科入試だったが、今年度は、大学入学共通テストの外国語、国語、数学1・A、選択の4科目と学部の独自試験の併用方式に変わった。共通テストは数学の1・Aが必須となり、独自試験は日英の両言語による長文を読み解く総合問題に変わった。定員も450人から300人と大きく減らした。特に注目は数学の必須化だ。同学部広報担当教務主任の荒木一法准教授は、次のように話す。
「統計学を必修化するなどカリキュラム改革が先行し、入試はそのアドミッションポリシーによる変更です。現代の経済学、政治学は統計学、ミクロ経済学、ゲーム理論の基礎を押さえておかないと、理解できないテキストや論文があります。受験生には、数学の基本を理解しておくことが重要だというメッセージとして受け取ってほしい」