男性は60歳の定年後、再雇用に応じる道もあったが「好きなことを仕事にしたい」と退職。その後、国家資格のキャリアコンサルタントを取り、今はココナラや人材紹介会社を通じて紹介される仕事を手がけ、フリーのコンサルタントとして活躍中だ。

 柳澤さんは「ネットに苦手意識のある方も、ぜひ一度試して」と言う。

「出品や登録はフォーマットどおりに入力すれば簡単です。気になった点は何度でも修正可能。買い手がつくと、購入者からの評価や反応も直接返ってきますので、お金だけでは得られない喜びが味わえるでしょう」

 ココナラのように、ネットを通じて仕事を仲介するサービスは増えている。副業が認められたり、終身雇用の限界が指摘されたり、働き方の変化やITの進化が背景にある。

 仕事やスキルを融通無碍(むげ)にシェアする「シェアリング経済」の考え方も定着し、ココナラのほか、ネットを通じて仕事を請け負うフリーランス仲介サービスのランサーズやクラウドワークス、企業の役員や研究者にビジネスの相談ができるビザスク、さらに料理宅配などのウーバー・テクノロジーズといった企業が続々登場している。

 こうした企業が参加する「シェアリングエコノミー協会」によると、個人のスキルを仲介する「スキルシェア」サービスだけでも、国内市場は2020年度の2425億円から、30年度に最大10倍超の2兆6625億円に成長すると見込む。

 当然、こうした変化はシニアにも影響が及ぶ。シニアライフアドバイザーの松本すみ子さんは「シニアこそ、こうしたサービスの利用を考えるべき」と指摘する。

 特に今年4月に施行された「70歳就業法」が大きいという。企業はこれまでの65歳から、70歳まで働く機会を確保するよう求められるようになった。ただし従来の「義務」とは違い、あくまで「努力義務」。そのため、すべての人が70歳まで雇用されるとは限らない。

 企業によっては、他社への再就職やフリーランスとしての契約、起業の支援といった直接雇用以外の選択肢を選ぶ可能性がある。

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