松本さんはこう言う。
「これからは、シニアも現役世代も、その人にどんな能力があり、どんな仕事ができるかがよりシビアに評価される。その意味で仕事やスキルのマッチングサイトは便利。シニアにとってのメリットは、自分のペースで働けること。必要な分だけ働いて、残りの時間は旅行や趣味を楽しめる」
ネットを通じて仕事を請け負えるクラウドソーシング大手のクラウドワークスでも、「50代以上の利用者がじわじわと増えています」(広報担当者)と言う。
同社のサービスの登録者は440万人以上。全国70万社から寄せられる200種類以上の仕事を仲介する。
システムの開発や運用、ウェブサイトの制作・デザイン、写真や動画の作成、翻訳、エクセルやパワーポイントを使った資料作成や事務作業で、ココナラより専門性が高い印象だ。前出の担当者は「シニアが強みを発揮しやすいのは原稿の執筆やコンサルティングなど」と話す。
「原稿の執筆は、書くスキルだけでなく、一定の専門知識があると差別化できます。シニアの方は相続や終活、介護、不動産、投資などニーズの高いテーマについて、差別化につながる知識や経験を持つ人が多い。コンサルティングも、経験を生かして経営判断や業務の改善のアドバイスをすることができます」
仕事の値段は原則、発注側と受注側が相談して決める。発注価格が低くなりすぎないよう、仕事のカテゴリーごとの平均的な値段を示す相場一覧表や、受注者のアンケートを示したり、サイト内のパトロール体制を整備したりして発注側に呼びかける仕組みがある。
相場一覧表によると、「記事作成」の目安は2千文字以上、納期5日前後で2千円から、アンケートの実施から集計までを含めた「市場調査・リサーチ」は納期20日前後で3万円からなどだ。
同社は個人利用者向けのオンライン講座「クラウドカレッジ」も用意している。「ウェブライター」「動画編集」「バナー作成」「名刺作成」といったコースがあり、それぞれのスキルだけでなく、受注の確率を高めるコツを教える。
「IT関連では、プログラミング以外の講座はあまり一般的ではありません。当社の講座は、比較的安く専門的なスキルを身につけることができると好評です。中高年の受講者も多い」(講座の担当者)。初心者や不慣れな人でも利用しやすくするための工夫だ。(本誌・池田正史)
>>【関連記事/30代以上も利用増 1時間単位で「すぐ働ける」バイト探しとは?】はこちら
※週刊朝日 2021年7月23日号より抜粋