「あれどこだっけ?」というプチストレスが多かったキッチン/ビフォー
「あれどこだっけ?」というプチストレスが多かったキッチン/ビフォー

 すべての片づけが終わった今、キッチンのモノは「どこに、どれだけあるか」を夫婦で理解しています。ある日、彼女が料理酒を補充しておくと、夫が「使い切ったはずなのに、ある!」と驚きました。「買っておいたよ」と伝えると、夫は「ありがとう!」とお礼を言ってくれるという微笑ましいシーンもあったと言います。

 キッチンだけではありません。

 新しくキャンプ道具を買うときに、彼女が夫に「どこにしまうの?」ときいてみたら、「3階のクローゼットかな」と彼女が想像していた場所を答えてくれました。アウトドア用品をどこにまとめているかということ、さらにそこに空間があるということを、2人とも把握できているということです。

「取り出しやすい」にこだわって使い勝手がよくなりました/アフター
「取り出しやすい」にこだわって使い勝手がよくなりました/アフター

「片づけながら、ふと思ったんです。みんなで暮らす家だから、私だけじゃなくて、夫と一緒に片づけができるようにならないとって。今では、私が疲れて動けないときに、夫がササッと私がやる以上にきれいに片づけてくれます」

 自分のコンプレックスを克服するための片づけのはずでしたが、彼女の本当の気持ちは最初から「家族が快適に暮らすための家づくり」にありました。そこに自分で気づけたというのが素晴らしいですね。

 教員として働く彼女は、現在育休中。職場に復帰したら、職員室や教室の机周りなどを片づけて、効率的に働けるイメージが湧いていると言います。

「でもその前に、今の時間を思いきり楽しもうと思います。育休中に一番やりたかった家の片づけが、もう終わっちゃったので。読みたかった本を読んで、夫にまかせっきりの料理も少しずつアップデートして……」

 何事にもやる気がいっぱいの彼女は、これからやりたいことがたくさんあるようです。

「今しかない息子との時間も大事にしたいですね。家の中がきれいだと、背景を気にせずに写真や動画を撮れます。そのまま義両親に送っても大丈夫!」

そう笑う彼女は、ロボット掃除機が動くたびに「片づけてよかったね」と夫婦で話しているとも話してくれました。

イメージを共有する貼り紙。書いてある通り出費も軽減できました
イメージを共有する貼り紙。書いてある通り出費も軽減できました

 片づけ始めたときは生後4ヶ月だった息子は、今では家中を思いきりハイハイして回り、つかまり立ちもするようになりました。夫婦が目標としていた光景です。ゴールをともにして、一緒に片づけて、喜びも分かち合う。「家」への気持ちが一つになった家族は、理想に向かってすごい力を発揮するということを改めて教えてくれました。

●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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