プロジェクト序盤は、モノの量を減らすために家の中のモノと向き合います。彼女は思い出の詰まったモノをなかなか手放せないので、これはとても苦労する作業でした。小学校の頃の手紙や当時コレクションしていたメモ帳、中学校・高校時代の手帳など、ずっと保管していたモノばかり。
「あまり見返すこともないのに、入れられる場所があるから押し込めていたんです。でも、プロジェクト中に聞いた『空間が未来を助ける』という言葉が刺さりました。今、私と夫のモノだけでパンパンなのに、これから増えてくる息子のモノをどうしようと思って。何もない空間があってもいいんだ!と、気づきました」
モノを手放すスピードがアップすると、家の中がみるみるスッキリしてきました。
夫のモノは依然として片づかないままでしたが、彼女は夫に「片づけて」と催促することは決してありませんでした。その代わり、「床がきれいになったら、子どもがハイハイできるね」「私はこの本をリサイクルに持って行くけど、何か一緒に持って行く本ある?」など、気持ちを促す声かけを続けました。
すると、夫の行動に変化が見られました。ある日、夫が急に「手伝うことある?」と話しかけてくれました。
「うれしかったですね! たぶん、息子にとってのメリットを伝えたのがよかったと思います。そこから、いろいろと相談できるようになりました」
彼女は、夫と片づけのイメージを共有することが大切だと気づきます。「リビングではテレビを見る。くつろぐ」など、部屋ごとに理想を書き出して壁に貼りました。夫婦でゴールを明確にできたので、お互いにやるべきことが自然と見えてくるように。
特にイメージの共有が役に立ったのは、キッチン。夫が料理好きなので、夫婦ともによく使う場所です。
「私が使うときに計量カップがなかったり、同じ調味料がいくつも出てきたり、ということがよくありました。ちょっとしたことですが、ストレスだったんです。でも、今ではそんなことがなくなりました」