では、22年度はどうなるのだろう。エキスパートたちはそろって、「資格が取れる系統に人気が集まる」と言う。21年度は低迷した私立大の教育系統が伸びるとの予測もある。駿台教育研究所・進学情報事業部部長の石原賢一さんはこう話す。
「保育士や幼稚園教諭の資格が取れる学部の新設が続いています。待機児童問題の解消や幼児教育・保育の無償化の動きで、現場は人手不足です。その分、就職先がたくさんあります」
今年8月、教員免許の更新制度を廃止する方針が表明されたことも、教育学部人気を後押ししそうだ。「更新制度が学校の先生方の負担になっているので、廃止が志願者に響いてくるはず」(石原さん)
この影響は教師になりたい人だけにとどまらない。
「国家公務員は不人気だが、地元で地方公務員を目指す人が増えるのでは。最近の公務員志望者は法学部ではなく、教育学部を選ぶ人も少なくない。教師になるかは別として、教員免許も取れる手堅さがある」(大学通信・常務取締役の安田賢治さん)
手に職といえば、医学もそう。医学部志願者は前年から微増し、21年度は7年ぶりの増加となった。ただ、今後は医学部は定員削減の方向だ。
「どこまで減らされるかにかかっています。ただ、コロナ禍で医師不足といわれるなか、大幅減にはならないでしょうから、今後も現在くらいの倍率を維持するのでは」(石原さん)
情報は引き続き好調のようだ。
「入試のレベルが上がるでしょう。情報系の仕事は食いっぱぐれがありません。文系理系のどちらからでも攻められます」(同)
21年度は激減した国際にも、明るい兆しがある。留学を再開する大学が出てきた。
「ワクチン接種が進んで、いまの高校3年生も、大学2年になる頃には、普通に留学できるようになるかもしれない。それに、受験生のグローバル志向は変わっていません。いま人気が下がった反動で、受験生が戻るかもしれない」(安田さん)
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2021年9月27日号より抜粋