コロナ禍で迎える2回目の大学入試。昨年の経験を踏まえ、大学側も受験生側も準備を進めるいま、ウィズコロナ時代を見据え、どんな大学や学部系統が人気なのか。受験エキスパートたちに聞いた。AERA 2021年9月27日号は「大学入試」特集。
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「2022年度の入試から、大学全入になります」
河合塾・教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは言う。
「志願者数と入学者数が限りなく一致します。もちろん誰もが合格できるわけではありませんが、大学に入りやすい時代がきています」
全入時代といわれて久しいが、22年度、初めて志願者数が入学定員を下回ると予想されている。20年度の入学者は63.5万人で、すでに21年度の志願者63.6万人と同程度だった。河合塾の推計では、22年度の志願者は前年よりさらに2.3万人減の61.3万人になる。このままいけば、全入は確実だ。以降は毎年2万人ずつ減少する見込みで、全入は加速していくとみられる。
「これまでだったら、とても自分には手が届かないと思っていた大学・学部が、実はもう自分のすぐそばの学力にまで下りてきているのです。『あの先輩がなぜ受かったの』という状況になっています」(近藤さん)
そこで、大学受験のエキスパートたちに22年度の予測を聞いた。いま、どんな学部系統が狙い目なのか。
まずはコロナ前の20年度と、コロナ下の21年度の結果を比較してみよう。AERAは河合塾のデータをもとに、学部系統別の志願者数の増減率を独自に集計した。
■「理高文低」と「手に職」
国公立大で増加していたのが、教育、医薬看護、情報。理系全般が小幅減にとどまった。一方、私立大は昨年、特に志願者を減らしたため増加の学部系統はなかったものの、やはり医薬看護、情報と理系全般が堅調だったようだ。国公立大、私立大とも、減少が目立ったのは、国際、外国語系だった。
「『理高文低』の流れは、コロナ前から変わっていません。不況になると、理系や『手に職』系の学部が人気になる傾向があるので、コロナ後も続くでしょう。海外留学に躊躇(ちゅうちょ)して、国際系は大きく減らしました」(近藤さん)