医師が自宅に来て診療してくれる「在宅医療」。コロナで、病院に入院するよりも在宅医療を希望する患者が増えているといいますが、気になるのはその費用。富裕層向けの医療とのイメージもあるようですが、そうではありません。好評発売中の週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』では、日本在宅医療連合学会代表理事の石垣泰則医師に在宅医療にかかる費用を聞きました。
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医師が自宅を訪れておこなう診療には、「訪問診療」と「往診」の二つがあります。計画に基づき定期的に訪問するのが「訪問診療」で、計画にはなく本人や家族の求めに応じ臨時に訪問して診療するものを「往診」といいます。
また、訪問診療とともに、看護師による訪問看護を受けるのが一般的です。
訪問診療の開始に際しては、医師の訪問回数や治療内容などの計画がつくられます。あわせて訪問看護の回数も検討されます。病状が安定している場合には、訪問診療が1カ月に2回、訪問看護が1カ月に2回または4回が一般的です。病状が不安定である、特別な治療が必要、看護師による頻回の処置が必要などの場合には、訪問診療や訪問看護の回数を増やして対応してもらうことになります。
なお、訪問診療の回数については、原則として週3回が上限とされ、一定の病気や病状ではそれ以上の回数が認められています。訪問診療が週3回あるいはそれ以上必要になる場合には、看取り期、がんの末期、人工呼吸器を使っていて状態が不安定な場合などが考えられます。
訪問診療のスタートに際し、初回の医師の訪問は、まだ計画に基づいたものとは見なされず、初診料と往診料がかかります。2回目以降が計画的な訪問診療で、基本となる費用は、医師の訪問1回ごとの訪問診療の費用と、月ごとの総合管理の費用です。
この総合管理の費用は、訪問診療を受ける場所が自宅か、住まいと見なされる施設(有料老人ホームやグループホームなど)か、1カ月の訪問回数が1回か2回以上かなどで異なります。