週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より
週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より

 肺炎が起こるなど病状が悪化すると、往診を依頼する、訪問看護の回数を増やす、治療薬が増えるなど、費用が一時的に増えます。状態が改善して安定すれば、医師・看護師の訪問回数は通常に戻り、費用も以前と同じになります。

 しかし、頻回の治療・看護を受けても具合がよくならない場合、入院も選択肢の一つになります。このとき、患者や家族などから入院はしたくないという希望があれば、病状に応じて訪問診療や訪問看護の回数を増やした診療計画が提案されることもあります。

 訪問回数を増やせば、その分費用は増えます。緩和ケアで医療用麻薬を使うようになる、人工呼吸器による治療を選ぶなど、治療内容が変わったり薬が増えたりする場合も、費用が増えます。

 経過中に費用がどう変化するか不安ですが、医療費を軽減する制度もあります。そのひとつが、1カ月の医療費が高額になった場合の高額療養費制度です。所得の程度に応じて、自己負担額の上限が定められています。

 また、1年間の医療費と介護費を合算した費用が高額になった場合に、自己負担を軽減する高額介護合算療養費制度(高額医療合算介護サービス費)もあります。難病法に基づく指定難病で、病状が一定程度以上と認定された人に医療費を助成する制度もあります。

 在宅医療の費用を、外来での医療費と比べると、やはり高めといえます。在宅医療では、医師がその人の住まいに出向くのに時間がかかる点などが考慮されているようです。一方、病室に滞在する費用が含まれる入院治療費に比べれば、在宅医療は割安であるといわれています。

 在宅医療の費用のしくみは、さまざまな条件により金額が違ってくるなど、複雑でわかりにくいといえます。在宅医療を開始する際や、開始後に明細を見たときなどにわからないことがあれば、医療機関に確認してみましょう。

(文・山本七枝子)

監修/石垣泰則医師●いしがき・やすのり
コーラルクリニック院長。日本在宅医療連合学会代表理事。順天堂大学脳神経内科・リハビリテーション科非常勤講師

※週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2022年版 コロナで注目!在宅医療ガイド』より

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