今季限りで日本ハムの監督を退任した栗山英樹氏
今季限りで日本ハムの監督を退任した栗山英樹氏
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 ヤクルトの20年ぶり6度目の日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。セ・パ両リーグとも前年最下位のチームが優勝を果たすシーズンとなったが、今回は現場の最高責任者である監督の手腕についてスポットライトを当ててみたいと思う。以下はパ・リーグ編。※評価はA~Dの4段階/セ・リーグ編に続く

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中嶋聡監督(オリックス) 評価:A

 惜しくも日本シリーズではヤクルト相手に敗れたものの、チームを25年ぶりのリーグ優勝に導いた。昨年のシーズン途中に監督代行に就任してから明らかにチームの成績は上向いており、中嶋監督の手腕によるところは大きい。特に見事だったのが若手とくすぶっていた選手の抜擢だ。宮城大弥、紅林弘太郎、杉本裕太郎などはその代表格で、我慢して起用したことが大きなプラスとなっている。また宗佑磨と福田周平もコンバートによって一気に飛躍を果たした。ここ数年のドラフトが上手く機能したということもあるが、それを生かしたのはやはり中嶋監督の起用であることは間違いない。今季活躍した選手以外にも楽しみな若手も多いだけに、来季以降も優勝争いに加わり続ける可能性は十分にあるだろう。

井口資仁監督(ロッテ) 評価:B

 オリックスに競り負けて惜しくも2位となったが、監督に就任してからの4年間でチーム成績を常に向上させてきた点は評価できる。昨年は沢村拓一(レッドソックス)、今年は国吉佑樹、加藤匠馬とシーズン途中にトレードで加入した選手を上手く活用して戦力としている点はフロントとの意思疎通が良くできていると感じる。大器である佐々木朗希も、吉井理人投手コーチの意見を尊重しながら着実に成長させてきた。少し物足りないのが若手野手陣の停滞ぶりだ。井口監督だけの問題ではないが、安田尚憲、藤原恭大、平沢大河といったドラフト1位で獲得した選手たちがもうひとつ殻を破り切れないでいる印象が強い。彼らをチームの中心とすることができるかが、今後の大きなポイントと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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