■全社一律で定めない
上司との調整も負担が増したという。
「業務をスムーズに進めるための下交渉が、以前は数分の立ち話で済んでいたのが、今はいちいちオンラインミーティングをセットする必要があり、何倍もの労力がかかります」
オミクロン株の出現も相まって新型コロナがいつ収束するのかは依然、見通しが立たない。とはいえ、国内の新型コロナの新規感染者数は夏以降、低水準が続いている。
そうしたなか、在宅から出社への切り替えを模索する動きも出ている。
政府は11月、新型コロナ対策として呼びかけてきたリモートワークなどによる出勤者数の一律「7割削減」目標を撤廃。撤廃を要請していた経団連はこれを受け、緊急事態宣言下を除き、出勤者数の削減率公表を不要とする方針を各社に伝えた。
企業は今後、どんな勤務態勢を志向するのか。
注目を集めているのが、アフターコロナも見据えた働き方を10月に開始した「LINEグループ」だ。昨年6月以降、オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせる「ハイブリッド型」を暫定導入してきたが、これを維持した上で、よりフレキシブルな態勢にシフトした。
「より効率的に高いパフォーマンスを発揮し続ける働き方を検証してきた中で、勤務形態のルールを全社一律で定めず、部署によって異なりますが5~10人ほどで構成しているチームごとに運用できる柔軟性を持たせたほうが、当社にフィットしているという結論に至りました」(採用広報担当者)
■アイデアの創造を促進
「ライフスタイルの選択肢が増えた」と社員に好評なのは、居住地の推奨範囲を広げた点だ。東京都内のオフィスに「午前11時までに出社が可能な範囲」を推奨して、3大都市圏に加えて札幌や、青森、広島、富山、徳島、福岡、鹿児島、那覇などを例示した。
また、会社が認めた場合、育児や家族の介護、看病、本人・家族の遠方の病院への通院など「家庭の事情」で一時的に居住地以外に滞在する勤務形態も可能とした。