(イラスト/小迎裕美子)
(イラスト/小迎裕美子)

 オフィスも「場所にとらわれない働き方」に対応し、オンラインミーティング用の個室ブースを180台増設。対面で深い議論をするためのワークショップルームも新設した。つまり、対面の議論もこれまで以上に重視しているのだ。

「オフィスを単なる『働く場所』ではなく、『従業員が集まることによって様々なアイデアの創造を促進する場』にすることを目指しています」(同)

「日本的な働き方」の象徴とされてきた単身赴任を見直す動きも出ている。オフィスのリニューアルと働き方の改革をセットで推進する「カルビー」だ。

 カルビーは昨年7月から、オフィス勤務者のリモートワークの標準化やフルフレックスタイム制の導入、業務上支障がない場合の単身赴任の解除などを始めた。

■自ら場所を選んで働く

 背中を押したのは社員の声だ。原則在宅勤務にシフトした人を対象にした20年5月の社内アンケートで、6割以上が「コロナ感染症拡大前の働き方に戻りたくない」と回答。一方で「在宅で働く環境が全く整っていない」と回答したのは2%ほどだった。

 カルビーが東京・丸の内の本社オフィスを全面リニューアルしたのは今年9月。オフィスを2フロアから1フロアに集約した上、コミュニケーションを重視したレイアウトに変更した。

 ソロワークや報告型会議などはリモートを前提とし、執務スペースの席数を半減。一方で、オンライン会議に適したブース型の部屋や、周囲の音を気にせず仕事ができる電話ボックス型の部屋、立って仕事ができる長机、雑談が生まれやすく気軽に集まれるスペースなどを設けている。

 プロジェクトリーダーの難波俊也さんは「これからは社員一人ひとりが『自ら場所を選んで働く』のが大切だと思います。リモートでも多くの業務ができることを実感する中で、社内だけでなく社外からも“集まりたい空間”を目指しました。生まれ変わったオフィスで新たな価値やアイデアを共創し、イノベーションを起こしていきたい」と話す。

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