高校時代、上下関係の厳しさがない伸び伸びムードの野球部で先輩から一目置かれていたという村上は、プロ入り後も大物ぶりを随所で発揮している。

 小川淳司監督時代には、15歳年上の雄平が好守備を見せた直後、「よく捕った」と言わんばかりにグラブをバシッと叩くパフォーマンスを演じ、「先輩相手によくあんなことができるな」と指揮官を苦笑させた。

 プロ2年目の2019年シーズン開幕前、侍ジャパンの一員としてメキシコと強化試合を行ったときにも、村上の物怖じしない言動が話題になった。

 稲葉篤紀監督は3月9日の初戦で、22歳の巨人岡本和真を4番ファースト、19歳の村上を7番サードに抜擢起用したが、年齢の近い二人はポジションも同じサードとあって、すぐに親しくなった。

 同年3月12日付の東京スポーツによれば、岡本が「オレって、バカだろ?」と冗談めかして振ると、ふつうなら「そんなことないっすよ」とフォローするのが“礼儀”なのに、村上は真顔で「ハイ、バカです」とそのまま返したという。驚いた岡本が「バカって何だ」とツッコむと、村上はすぐに「あ、すんませんでした」と謝り、「バカじゃないっす」と取りなしたが、他チームの先輩相手に漫才のようなノリで堂々と渡り合うのは、肝っ玉座り過ぎとしか言いようがない。

 前年、史上最年少の3割(.309)、30本塁打(33本)、100打点を達成したばかりの岡本は同時期に「すぐに(村上に)抜かれますよ」と漏らしていたが、“バカ事件”に代表される肝っ玉の太さも含めて、村上を終生のライバルと認めたようだ。

 今季の村上は、打率.278で最年少記録更新こそならなかったものの、39本塁打で岡本とタイトルを分け合い、打点も岡本に1差の112打点とほぼ互角の成績を残した。

“ふてぶてしい”エピソードは、尽きることがない。納得のいかない審判の判定に対し、村上が真っ向からごねるパフォーマンスを演じたのが、今年10月20日の阪神戦だ。

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今後“村上ボール”が生まれる?