「大卒の有効求人倍率自体は1.5倍を超えますが、22年の従業員規模5千人以上の大手企業の求人倍率は0.41倍と、1人の採用枠に2.5人の学生が応募していることになります。大手への就職は依然として厳しいのです。そうしたなかで、IT関連企業は採用を大幅に拡大しています」
だが、一口にIT関連といっても、仕事の具体的なイメージが浮かびづらい人も多いだろう。
そんな学生のために、明治大学が開いたのが「ライバル企業比較セミナー」だ。同大の就職キャリア支援センターの原口善信さんが説明する。
「ITといっても開発するものは様々です。セミナーでは、企業の違いを伝えるのではなく、『このような視点で見るとそれぞれの会社の違いがわかる』と直接ヒントをもらうことができます。それによって、志望動機が明確になるのです」
その明治大学から13人が採用されたのは、テレワークシステムの開発などを行う「Sky」だ。CMなどで知名度が高く、AIなどの新技術活用にも取り組む同社へのエントリー数はここ数年、右肩上がりだという。
ただ、胡坐をかいてはいられない。24年3月卒(現・3年生)のエントリー数は一転、減少気味に。採用担当の南出致聖さんは言う。
「同業他社も24年3月卒の採用を拡大させてくると思われますので、うかうかしていられません。SNSプロモーションや、大学の駅に広告を出す対応をしています。研修で基礎からプログラミングを学べますので、もっと応募してもらえたらと考えています」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2022年10月24日号より抜粋