今年春の各大学の就職状況が明らかになった。長引くコロナ禍の影響はいまだ続いているが、採用を中止・縮小していた業界も、募集を再開させつつある。いま勢いのある業界、人気企業が採用したい大学はどこなのか。AERA 2022年10月24日号の「大学」特集の記事を紹介する。
【表の続き】人気101社が採用したい大学は? 人気企業就職者数はこちら
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自社キャラクターのパペットを手にはめた男性社員がニッコリと歩み寄る。
「お席空いてますよ」
「説明聞いていきませんか」
10月、都内のマイナビ主催・合同企業説明会の会場では、企業の担当者たちが参加した大学4年生に声をかけていた。
新型コロナの感染拡大により、売り手市場から一転、有効求人倍率が急落した大卒の就活。長引くコロナ禍でどうなることかと思いきや、2022年3月卒(現・入社1年目)の代は1.5倍台を底堅く維持、23年3月卒(現・大学4年生)の代は0.08ポイント上昇した。コロナ禍で初めて上向いたのだ。
こんな調査もある。マイナビが学生に「あなたの就職活動を漢字一文字で表すと」と聞いたところ、コロナの影響を受ける前、20年3月卒の1位は「楽」だった。それがコロナ禍の就活となった21年、22年は「苦」に。だが、23年は3年ぶりに「楽」になったという。
コロナ禍以前の姿を取り戻しつつある就活。では、どの大学と企業との相性がいいのだろうか。人気企業101社の就職者数から見てみよう。アエラは大学通信の協力を得て、22年3月卒が就職した人数をまとめた。
大学通信・情報調査部部長の井沢秀さんが注目するのはIT関連企業だ。
「いま勢いのある業界です。10年前は採用数が数十人規模だったのが、いまは3倍の200人に内定を出している会社もあります」
その一つがNTTデータだ。官公庁や金融など法人向けのITシステム開発・運用をする。
同社の11年前と22年3月の採用者数を比べると、早稲田大から65人→87人、慶應義塾大41人→58人、東京理科大19人→24人、大阪大9人→24人と増大している。