さらに深刻なことに、自衛官の高齢化が進み、現場では大幅定員割れの状況だ。弾薬を補充しても戦う人がいないから戦争など絵に描いた餅である。非正規雇用が多い貧困層では、経済的理由で結婚できない、あるいは、結婚できても子供を持つ余裕がないという若者が増えている。少子化はさらに進み、自衛隊の人員不足は解消どころかさらに悪化が見込まれる。
もう一つ、大きなリスクがある。それは日本海側に並ぶ原子力発電所だ。北朝鮮が核爆弾や長距離弾道ミサイルを開発しなくても、通常兵器で原発を攻撃されれば、日本は壊滅的打撃を受ける。それにもかかわらず、原発の安全確保策は全く採られず、まともな避難計画も作られていない。核燃料の地下埋設など今すぐに始めるべきことに手を付けず、おまけに原発を新増設すると叫ぶ。ミサイルの上空通過にJアラートを発出するだけの政府の対応は「無策」と言って良い。
自民党政権の危機意識は驚くほど低レベルだ。台湾有事だ!ミサイルだ!と大騒ぎしているが、実は、「まあ、そんなに急に戦争になる訳ではないから、慌てなくても良い」と考えているとしか思えない。
「平和ボケの自民党」
彼らのことをそう呼ぶことにしよう。
※週刊朝日 2022年10月28日号