全てのサラブレッドの血統をたどると、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークという3頭にたどりつく。かつてはこの3系統が拮抗していたが、いまや世界中でダーレーアラビアン系の一人勝ち状態になっている。特に凋落が著しいのがバイアリーターク系。日本でいえばシンボリルドルフ・トウカイテイオー父子やメジロマックイーンといった名馬がこの系統だが、産駒が走らないために、もはや絶滅寸前なのだ。

「3大始祖が1代始祖になっている。それに何も抵抗しないで死んで行くことはしたくなかった。100年後の競馬ファンに、こうやって抵抗した人間がいたと示したかったんです」

 Hさんは、なんとも壮大なロマンに突き動かされていたのだ。

 さてクワイトファインとガレットデロワの子の近況だが、

「9月26日に3度目の受胎確認をしました。順調にきています」(岡崎代表)

 トウカイテイオー産駒の子であると同時に、シンザン(1964年)、ミスターシービー(83年)、シンボリルドルフ(84年)、ディープインパクト(2005年)という4頭もの三冠馬の血を引く子である。来春の誕生が待ち遠しい。

(注)サンデーサイレンス=アメリカでGIを6勝。引退後、1991年から日本で種牡馬となる。95年から13年連続でリーディングサイヤー(種牡馬成績1位)。ディープインパクトなど多くの産駒が競走馬としてだけでなく種牡馬としても優秀な成績をおさめているので、サンデーサイレンスの血を引く馬が過剰な状態となっている。

(本誌・菊地武顕)

※週刊朝日オリジナル記事

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