「時には本音をぐっとこらえて、優しい言葉をかけてあげることも祖父母世代の大切な役割です」
こう話すのは、『孫育ての新常識』などの著書で知られる、子育てアドバイザー・おやのめぐみ(小屋野恵)さん。祖父母世代では、専業主婦として子育てする人も多かったことから、共働き世帯の苦労や事情がイメージできないケースもある。それでも慣れない子育てに奮闘している子世帯に批判的な目を投げかけるより、サポートの言葉を意識したい。
「『よく頑張っているね』と労うことが大切。言葉ひとつで、味方にも敵にもなるから気をつけて」(おやのさん)
共働きの子世代に対するモヤッとした感情は、育児に積極的に参加する“イクメン”息子を見る親にも存在する。四国在住の谷部良子さん(仮名・60歳)は、半年に一度、都内に住む息子家族の家を訪問するのを楽しみにしている。孫は4歳と1歳で、息子の妻は現在、2人目の育休中。2人の子育てに追われる忙しい毎日だが、仕事を休んでいる期間は、子どもと過ごす時間をたっぷり持つことができている。
■イクメン息子がおもしろくない
そんな中、息子は仕事の帰り道にスーパーに寄って買い物をし、帰宅するとエプロン姿に着替えて夕飯を準備。子どもをお風呂に入れるのも息子の役割で、慣れた手つきでオムツも替える。抱っこ紐で子どもをあやす姿も板についてきた。そんな息子の姿を目の当たりにするにつれ、母親として「どこかおもしろくない自分がいる」のだと言う。
「私が息子を育てたころは、何でも母親がやるのが当たり前で、夫はオムツを替えたこともなかった。そのせいか、仕事で疲れて帰ってきた息子に、家事や育児をバンバン押し付ける育休中の嫁を見ると、正直ムカつくんです」(良子さん)
「それが今の子育てなのだと受け入れて」とは、前出のおやのさん。男性も育児に参加するのが当たり前の時代だ。
「逆にこれが娘のお婿さんとなると、『優しいパパね~』『ありがたいわね~』とコロリと立ち位置が変わるのもジジババというもの。息子に対しても『一人前の父親になれてよかったなあ』と肯定的に見てあげましょう」(おやのさん)