重いランドセルが子どもたちの登下校を苦しめている。教材を教室に置いて帰る“置き勉”を認める学校も増えてきたが、十分とはいえない。最近はノートパソコンやタブレット端末が加わり、ますます重くなる。解決できない背景には、学校側の事情があるようで……。
【図表】こんなにも違いが!現行の教科書と40年前の教科書の比較
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忘れもしない。いまから十数年前のことだ。息子が小学校に入ったころ、彼は体重の3分の1ほどの重さの荷物を担いで登校していた。教科書や教材が詰まったランドセルと、手提げには上履きや体操着袋。給食当番のかっぽう着や水筒、傘、弁当が加わる日もあった。小柄だった息子は荷物に埋もれて歩いた。当時、学校に教科書などを置いて帰る「置き勉」は推奨されず、毎日持ち帰るのが当然とされていた。
そしていま、ようやくランドセルの重さが問題視されるようになり、置き勉を認める学校が増えてきた。最近は国が進める「GIGAスクール構想」で児童・生徒にタブレットやノートパソコン(PC)などの端末が配られ、教材などの置き勉は以前より進んだ。
だが今度は端末を持ち帰るという新たな“重荷”が加わった。教材を学校に置いたとしても、端末に入れ替わっただけなら総重量は変わらない。「むしろ重くなった」という声すら聞く。
「タブレットを毎日持ち帰るように言われていますが、家では使わないのでただ重いだけです」
そう嘆くのは埼玉県に住む40代の母親だ。タブレットのほか、国語と算数の教科書、各教科のノートと連絡帳、宿題用ワーク4冊が“置き勉不可”とされているため、ランドセルは毎日いっぱい。重さは約5キロ。大人でも片手で持ち上げるとズッシリとくる。
「せっかく持ち帰ってもタブレットで宿題をやるわけでもなく、連絡アプリもなく、たまに充電するだけ。教育委員会が端末の活用方針を考えているといいますが、その間にも子どもはどんどん成長していきます。早く有効に活用してほしい」
自宅には他にもPCやタブレットがある。そもそも子どもが学校から持って帰ってくる必要性を感じないという。