子どもが小学校に上がったばかりという東京都の40代の父親も、ランドセルの重さに衝撃を受けた。
「持ち帰りの教科書は数冊でも、日によって絵の具セットやプール道具もあるし、今年は夏前から暑くて水筒も必携でした。さらに1キロを超えるノートPCを持ち帰るとランドセルの重さは4キロを超える。学年が上がればもっと重くなると思うと今から心配です」
他にも筆者の取材では「タブレットを入れるとランドセルが6キロになり、玄関でしゃがんだ娘がよく後ろにひっくりかえる」「タブレットを持ち帰ると持っていくのを忘れやすい。なるべく学校で保管してほしい」といった声が多々あった。
逆に、「端末は必ず学校に置いて帰る」と定める学校も少なくない。だが、それはそれで保護者の不満があるようだ。
神奈川県在住の40代の母親は「突然、学級閉鎖になったり、子どもや家族がコロナにかかり登校できなくなったりしたとき、端末が学校に置いてあったらオンライン授業を受けられない」と気をもむ。複数の子どもがいる家庭では、家にある端末では足りず、学校のタブレットがないと困るという声も多かった。
端末を持ち帰る必要があるかどうかは、家庭によって異なるはずだ。「子どもが必要と思うときだけ持って帰る」という学校もあるが、まれだ。
「上の子は、ほぼ毎日持ち帰り、下の子はほぼ学校に置いてくる」と話す千葉県の40代の母親は「子ども自身に判断を委ねてもらえるのはありがたい」と満足そうだ。
なぜ多くの学校は「一律」を求めるのか。
教員たちに尋ねると「紛失時の責任の所在を明らかにするため」「教育委員会や学校の方針」などとする答えが多かった。子どもに選択させたくても、市区町村や学校の方針で一律の対応を求めざるを得ないという。
神奈川県の小学校に勤める50代の教員は「教育委員会が各学校に判断を委ねても、自分で判断することを避けて近隣校に合わせた一律の方針を出す校長が多い」と話す。教え子のため、というより、横並びの意識が勝るようだ。