WBCは今回で5回目だが、過去の歴史を紐解くと、「球界の盟主」と呼ばれた巨人の選手が多く選ばれている。世界王者に輝いた06年の第1回大会は上原浩治の1人のみだったが、世界連覇を飾った09年の第2回大会は原監督が率いて、内海哲也(現西武)、山口鉄也、阿部慎之助、小笠原道大、亀井善行(当時の登録名は義行)と12球団最多の5選手が出場した。13年の第3回大会も内海、山口、阿部、澤村拓一、杉内俊哉、坂本、長野久義の7選手が出場。もちろん12球団最多だ。17年の第4回大会は坂本、菅野智之、小林誠司の3選手が出場した。
今大会はどうだろうか。侍ジャパンを取材する記者は「巨人から1人も選ばれない可能性がある」と指摘する。
「坂本がコンバートされることになったら、新たなポジションでいきなり選出されるとは考えづらい。菅野も近年の投球を見ると厳しい。戸郷翔征は今季11勝をマークしていますが侍ジャパンの先発陣は豪華な陣容で層が厚い。選ばれるか微妙です。20、21年に本塁打、打点の2冠に輝いた岡本和真も同じ三塁に村上がいる。一塁も守れますが、山川と比較すると見劣りしてしまう。東京五輪で選出外でしたが、今回も厳しいでしょう。最も可能性が高いのは守護神の大勢でしょうか。ただ、広島・栗林良吏、DeNA・山崎康晃、伊勢大夢、楽天・松井裕樹、西武・平良海馬、水上由伸、阪神・湯浅京己など、救援陣は粒ぞろいなので熾烈な競争になると思います」
巨人と言えばFAで他球団の主力を獲得するなど「スター軍団」のイメージが強いが、坂本、丸佳浩、中田翔は33歳、菅野は32歳と主力の高齢化が進んでいる。投手陣は大勢、山崎伊織、堀田賢慎ら若手が台頭しているが、野手に目を移すと1軍で輝きを見せたのは増田陸、中山礼都ぐらいか。下位に低迷している現状を考えると、世代交代も大きなテーマになりそうだ。(梅宮昌宗)